昨日書いたように、松中は2月末でオファーがなかったために、引退を表明した。
BCリーグから強いオファーがあったようだが、受けなかったようだ。
プライドが邪魔をしたのだろうが、残念なことだ。

NPBで名を成した選手が独立リーグでプレーすることはいろいろな意味で有意義だと思う。
一つには「野球をする楽しみ」を取り戻すことができる。地方の人のいない球場だが、何十年ぶりかでプレッシャーを感じることなく野球をすることの意義は大きい。

二つには「指導者になる準備」ができる。独立リーグには、NPB未満の選手たちがいる。彼らはNPBのエリートに比べれば、技術も、肉体面も精神面も「足らず」だ。彼らと接することで、NPBで成功するには「何が必要か」が見えてくる。これはNPB出身の独立リーグの指導者が口をそろえて言ったことだ。相対的な価値観を得ることができるのだ。

三つ目には「無用なプライドを消す」ことができる。ひとかどの野球選手が身にまとっている「何様度」の高い過剰なプライドは、一般社会に出る際には無用だ。清原和博のようにその意識がモンスター化することもある。独立リーグでプレーすれば、周囲への感謝を抱くようになるし、社会常識も持つようになる。

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藤川球児のようにNPBに復活した選手もいるし、河原純一や桜井広大のように、ここで現役をあきらめた選手もいる。
彼らは、独立リーグに行ったことで「視野が広くなった」と思う。

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河原純一は2011年、39歳で中日から戦力外通告を受け、トライアウトでもオファーがなく、四国アイランドリーグplusに入団。
球速は135km/hほどだったが、緩急を使った絶妙の投球で格の違いを見せつけた。
河原は3年間、ここでマウンドに立ち、昨年肩痛で引退。
神奈川県出身で四国とは縁のなかった河原だが、引退後は愛媛マンダリンパイレーツの運営会社「星企画」に入社したという。
「星企画」は私も何度か訪れたことがあるが、地元密着ながらクリエイティブ面でも高いレベルを持っている。
そして愛媛マンダリンパイレーツの創業時から、一貫して経営に携わっていた。愛媛県の「県民球団」になるまでは、巨額の赤字を背負ったこともある。しかしそれでも球団を放棄しなかった。
地に足がついたマネジメントを学ぶ上では、最適の職場だと思う。


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桜井広大はPL学園時代には圧倒的な実力者であり「やんちゃ」のうわさも数多くあった。監督が手を焼いた選手だった。
しかし、阪神を戦力外となって四国でプレーをしたことで、いろいろなものが見えたのではないかと思う。
彼は2014年の四国アイランドリーグplus10周年の式典にスーツ姿で出席していた(右端)。その姿は立派に見えた。

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いつでも最高の待遇をしてもらって当たり前、野球以外のことは周囲がおぜん立てしてくれる。
そういう境遇にいる選手にとって、5回が終われば選手がトンボでグランドを馴らす独立リーグはカルチャーショックがあると思う。

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しかし、キャリアの最後にこういう環境を経験すれば、清原和博のような自己肥大は起こり得ないと思う。

引退後でよいから、松中和彦は、NPB以外の「野球の世界」を覗いてほしいと思う。



門田博光、チーム別&球場別本塁打数(南海時代)|本塁打大全

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