独走状態の週刊文春、先週号では笠原将生に続き、松本竜也にもインタビューしている。この内容は看過できない。
とにかく文春は売り切れるのが早い。発行日前後には高知にいたが、買うことができなかった。帰宅してから読んだので半週遅れとなったが、大変なことが書いてある。
松本は笠原に誘われて野球賭博をするようになった。笠原とはギャンブル仲間だったが、彼に誘われ、総額600万円ほどをかけて100万円ほど負けた。部外者であるAやBにも1度だけ会った。
松本の告白でショッキングなのは、巨人選手の賭博の実態だ。
トランプはテンテン、カブが中心。松本の説明は極めて詳細で、この人間が賭博好きなことがわかる。
「寮では大半がやっていたので」
と言っている。寮内の図書室でやっていたが、大広間にもトランプがあったという。
また、麻雀のセットもあった。
選手たちは雀荘ではなく、主に寮で手積みで雀卓を囲んでいたという。
昔の資料を見ると、昭和の時代、キャンプ、遠征では巨人選手は、ほぼ毎日雀卓を囲んでいた。当然賭博をしていた。監督やコーチも選手と交流するため参加することがあった。
昭和の時代までは、麻雀は男のたしなみだった。私の父は2001年に死んだが、サラリーマン時代はほぼ毎日飲みに行くか、麻雀をしていた。勤めていた会社の創業家の重役からかなりの金額を巻き上げたと自慢げに語っていた。
刑事罰に問われるか否かは別として、当時から、賭けマージャンは違法行為だった。しかし昭和の御代では、社会的に容認されていた。賭け麻雀であげられるのは、他の犯罪について取り調べるために警察が、身柄を拘束したい人間だけだった。いわゆる別件逮捕だ。

コンプライアンスの概念が全く変わった現在では、あり得ないことだ。
社会的な公共財であるプロ野球に従事する選手たちが、寮やスタジアムなど球団の管理下にある施設で日常的に賭博行為を行っていたのだ。由々しきことだと言えよう。
さらに巨人軍の選手たちは、練習中も賭け事をしていた。
ポジションごとのノック、いわゆるファンゴでは、エラーすると1万円のような賭けが行われていた。元はジュースや食事をおごるものだったが、金をかけるのが慣習化していた。
賭博が社会悪とされるのは、常習的にこれを行うことによって、時間や金銭を空費することもあるが、それ以上に、金銭の貸し借りがトラブルや犯罪につながりかねないことが大きい。
この借金で弱みを握られた人間が、裏社会に利用され、犯罪に手を染めることもあるのだ。
巨人の野球賭博も、福田の借金がかさんだことでトラブルが生じ、発覚した。松本も巨人の同僚Tとの間にトラブルを抱えていた。松本はトランプでTに百万円くらいの貸し分があった。松本は巨人を退団後、Tが金を支払わないために、連絡をしたところ、球団に「恐喝をするな」と言われたという。
事件発覚後も賭博の借金の返済を求めるなど、松本は全く懲りていないことがわかる。
松本は土木作業員をしながら球界復帰を目指していると言うが、誰かこの男に、その機会は永遠に失われたことを教えるべきだろう。
文春は球団にこうした現状について球団に問いただしているが、
ファンゴについては
「この行為は選手が技術向上を目指し、モチベーションを維持するために行ったもので、賭博行為とは性質が異なる」が、
「誤解を呼ぶ恐れがあるので禁止した」
と答えた。
ジュースをかけるのならともかく、少なからぬ金銭をかけているのだから、これは明らかに賭博行為だ。賭博に関する認識が、一般社会とはかけ離れていることがわかる。
巨人の寮からは、トランプや麻雀セットは撤去されたのだろうか。寮での賭博行為は禁止されたのだろうか。
未熟な選手たちは「野球賭博はダメだが、他の賭博はOK」という認識を持っているのではないか。
野球賭博だけが問題で、他の賭博行為は大丈夫なわけでもない。どんな賭博でも、負けが込んだ人間の周囲にはトラブルが発生する。
その点では、野球選手の本分を忘れ、野球賭博以外の賭博にうつつを抜かした選手にもペナルティを課すべきだ。
どこで線引きをするかが難しいところだが、外でパチンコや競馬をするのならともかく、球場や寮での金銭をかけた賭博行為は一切禁止すべきだろう。
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