今年のMLBペナントレースの最大の衝撃は、ボストン・レッドソックス=BOSが、4コーナーを回ってから失速し、馬群に飲まれたことだろう。昨年もポストシーズン進出が成らなかった。名将フランコナーが解任されたのもやむなしという感じだ。
前年と今年の成績の対比。各STATSのアリーグ14球団での順位、各数値の昨対を入れた。

BOS-2011-Bat


昨年は、BOSが誇る強力打線が壊滅したことが敗北の最大の原因だ。エルズベリー、ペドロイア、ユーキリスがDLで長期離脱。オルティーズも不振、ローウェルは引退した。チームは後半、なりふり構わぬ補強をした。昨年、BOSのユニフォームで打席に立った野手は30人に及ぶのだ。しかし、ポストシーズンには届かなかった。

その轍を踏まないために、今年は金にあかせて大型補強をした。ストーブリーグの中心人物だったナリーグの強打者エイドリアン・ゴンザレスを獲得。その上に、当面のライバル、タンパベイ・レイズ=TBから、生産性の極めて高いカール・クロフォードを引き抜いたのだ。自らの戦力アップと、敵の戦力ダウンを同時に行う。あからさまな政策。ストーブリーグの勝者はBOSだと思われたのだが。

開幕6連敗と躓いたものの、ゴンザレスが期待通りの大活躍。クロフォードは不振だったが、エルズベリー、ペドロイアが昨年の穴を埋めて余りある活躍。またオルティーズが安定感のある打撃を取り戻し、夏には首位に躍り出た。今年は優勝か、MVPはエイドリアンか、とまで予想されたが、ここから投手陣が絶不調に陥り、ついにはTBに鼻の差で敗れ去ったのだ。
打線はリーグ1の数字を残したが、穴はなかったわけではない。チームリーダーのユーキリスが冴えなかった。また、ドリューの衰えがはっきりしだした。

そして、目立たないが、捕手に人を得なかったことも大きいのではないか。主戦級投手との相性が良くなかったビクター・マルチネスが移籍したのはいいとして、そのあとに誰を据えるかが明確でないままに開幕を迎えた。リードはともかく走られっぱなしのジェイソン・バリテックは控えに回ったが、その代わりに正捕手には経験の浅いサルタラマッキアが座った。投手陣の不振と、捕手日照りは無関係ではないと思う。ホルヘ・ポサダの衰えを見越して、ロサンゼルス・ドジャーズ=LADの正捕手ラッセル・マーティンを獲得したニューヨーク・ヤンキース=NYYとは対照的だった。

今年の負け方はあまりにもショッキングだった。ベンチ、それにGMも入れ替わるなかで、BOSには資金力にものを言わせた増強ではなく「足らざるを補う」冷静なマネージメントが必要になってくるだろう。