シーズン終了直後の今が、記録好きにとっては一番楽しい時期である。今年度のSTATSをまるで、新しい服に袖を通すような気分で入力していく。いろいろな事実が見えてくるのだ。
NPBでいえば、今年最大の注目は、歴史的な好成績を記録したパリーグの2投手の記録だ。沢村賞は、ダルビッシュ有と田中将大のどちらに与えられるのか。まあ、昨年のMVPを200回を超えた3投手を差し置いてわずか169.1回しか投げていない和田毅に与えた日本球界だから、今年もとんでもない選考をする可能性はあるが。

数字で求められることができる39項目について、2人の成績を比べてみた。

Dar-Mar-20111027


スタミナに関わる指標、打者との勝負に関わる指標、投球の効率に関わる指標、コントロールに関わる指標など、評価は多岐にわたる。
両者ともに澤村賞の選考基準は軽くクリアしている。

登板試合数 – 25試合以上
完投試合数 – 10試合以上
勝利数 – 15勝以上
勝率 – 6割以上
投球回数 – 200イニング以上
奪三振 – 150個以上
防御率 – 2.50以下

カビの生えたような選考基準ではあるが。
二人のレベルは空前といってよい。何しろ、75年に及ぶNPBの歴史でDIPSが2点を割ったのは今年のこの2人しかいないのだから。どの指標を取っても、2人以外の投手とは比較にならない。

そんなハイレベルな二人のSTATSだが、子細に見ていくと投球の「質」の違いが浮かび上がってくる。
ダルビッシュは、とにかくスタミナ抜群で、打者を圧倒している。投球回数や投球数、被安打数、被安打率、被本塁打、被本塁打率、三振など、打者に敗北感を与えるような「剛」の数字で田中将大に勝っている。

対照的に田中将大は、効率、コントロールに関する数字と、勝負に関して秀でている。完投数、1アウト当たり、打者一人当たりの投球数、四球、死球、暴投、勝利数、勝率。彼の方が「柔」、巧みに勝ち星を手繰り寄せているということだ。
しかし、それはダルが効率の悪い投球をしているというわけではない。際立って高いレベルでの“強いて挙げれば”の比較である。ERA3位の和田毅や、最多勝タイのホールトンなどは、足元にも及ばないのだ。

39項目でダルの21勝15敗3分。しかし、投球回数とアウトの数など重複する数字も上げているし(あえて上げたのだ)、このレベルの高さを見れば、イーブンだろう。二人に沢村賞を与えるべきだと思う。