2010年6月、日本のあるプロ野球チームで野球賭博が発覚した。
ジャパン・フューチャーズベースボールリーグ(JFBL)に所属する大阪ゴールドビリケーンズだ。
主力を含む8選手が野球賭博にかかわったとして、6月25日、8人を解雇した。

事件の発端は、6月16日、監督の村上隆行に選手が賭博にかかわっているという情報が入ったことだ。
翌17日に球団が選手に話を聞いたところ、8人がセ・パ両リーグを舞台にした賭博をしていたことを申告した。

中心的な役割を果たしたのは、1人の選手。この選手は暴力団事務所に日常的に出入りしていたとされ、球団側も警戒はしていた。

この時期は、日本がワールドカップ南ア大会で決勝トーナメントに進出し、日本中がわきに沸いていた。
そして、大相撲の野球賭博事件が、調査委員会の調査と警視庁の捜査で次々と明るみに出て、大関琴光喜が解雇されそうな様相を見せていた。

ビリケーンズの野球賭博事件は、最初は小さな扱いだったが、次第に紙面が大きくなっていく。
相撲界に続いて野球界も野球賭博汚染か、という危機感が広まったのだ。

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野球賭博はこの年5月に本格化、
セ・パ両リーグの1試合ごとに勝ちチームを予想し、1~3万円を賭けていた。数回だけ参加した選手もいれば、問題が発覚するまでに80万円を負けた選手もいた。
各試合のハンデについては中心的な選手が暴力団事務所に出入りをして教えてもらっていた

参加者には試合開始2時間前までにハンデがメールで送られた。1時間前までに優勝予想と、賭け金をメールで胴元に知らせる。
金銭のやり取りは、1週間単位で日曜日が締日。月曜が清算日だった。
掛け金の一割は胴元が手数料として差し引いた。

このあたり、巨人の野球賭博とほぼ同じだ。野球賭博は暴力団関係のハンデ師がいないとできない。
高木京介が、自軍の試合中も他球団の勝敗に一喜一憂していたのも、同様の野球賭博をしていたからだ。

ビリケーンズの野球賭博は、多くが1~2週間で熱が醒めてやめたが、発覚直前までかかわっていた選手もいた。
脅されて参加していた選手もいたという。
負けが込んで、それを取り返そうとした選手が深みにはまっていった。

事件が発覚したのは、賭博の広がりを見かねた選手が家族に相談。家族が村上監督に通報したためだ。

当時、JFBLは大阪ゴールドビリケーンズと三重スリーアローズの2球団しかなかったため、四国・九州アイランドリーグ(当時)と交流戦を組んでいた。
野球賭博事件の発生を受けて、JFBLは四国側に報告書を提出。四国は臨時理事会を開き、当面の交流戦は続けることとした。

事件が報道された6月25日には、ビリケーンズの最大のスポンサーである森下仁丹が契約解除を通告した。

選手数が減少したため、ビリケーンズは、村上監督やコーチまでが試合に出場する事態となった。

7月に入ってビリケーンズは引き続きリーグ戦に参加する旨をJFBLや四国側に通告したが、資金がショートし、選手の給与などは支払われなくなった。

シーズン終了とともにビリケーンズはJFBLに以後、参加しないことを表明。三重1球団になったため、JFBLそのものも休止となった。
ビリケーンズは負債を抱えたまま、翌年1月には解散した。

野球賭博は、金額の多寡や、どのような形態でやっていたかにかかわりなく、選手の将来を断ち、チームやリーグそのものの存亡につながりかねない深刻な犯罪だ。

NPBや巨人は、このことを認識しているのだろうか。

すでに高校野球賭博の事実も明るみに出ている。
プロ野球の存亡にかかわる事態にならないためにも、ここで踏みとどまることが切に求められている。



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