昨日、桜の開花より少し早く、プロ野球界の「問題行為」が一斉に明るみに出た。総括しておこう。
●巨人
・2015年10月に福田聡志、笠原将生、松本竜也、3選手による野球賭博が発覚、調査の結果、3選手の契約解除、無期限の選手資格停止の処分が決定。
・この際に、球場内や寮で恒常的に違法賭博が行われている事実が発覚するも「野球協約上問題なし」との判断。
・外部の賭博常習者、A、Bの関与が確認されたが、任意の調査には応じてもらえず。
・2015年3月「週刊文春」の笠原、松本の取材記事によって、高木京介の野球賭博関与が明らかになる。高木京介は1年間の選手資格停止処分となる。巨人は高木を契約解除。
・笠原、松本の証言によって、ファンゴ(ノック)の際や、円陣声出しの際の金銭授受が明るみに出る。
・Bへのフジサンケイグループ、週刊文春の取材によって、野球くじと称する野球賭博類似遊戯の実態も明らかになる。週刊文春によれば、Bも参加したとされるが、巨人はこれを否定。
・2015年3月22日、巨人は全選手、首脳陣、球団職員ら299人にヒヤリングを実施。高木京介と他の1人が2013‐2014年に数回にわたりやみスロットを訪れ、その都度10万円程度をかけていたことが判明。1人に厳重注意。球団は「野球協約違反にならない」として他の1人の名前を公表せず。
・Bと面識のある選手がさらに8人いることが判明。このうち3人は賭けゴルフをしていたことも判明。
・この調査では賭けゴルフは42人、賭けトランプは23人が経験ありと答えた。
●阪神
・3月15日、選手がファンゴ(ノック)の際や、円陣声出しの際に金銭授受をしていたと発表。
・3月22日、選手間で高校野球くじを行っていたと発表。優勝校を当てた選手が総取り。また公式戦中にドーピング検査をした選手に祝儀を贈る習慣があったと発表。
●中日
・3月16日、選手が守備のミスの際に罰金を徴収。金は児童養護施設に寄付(修正しました)。
●広島
・3月16日、選手が円陣声出しの際に金銭授受をしていたと発表。
●ヤクルト
・3月22日、昨年、夏の高校野球の決勝で、選手10人ほどが賭けをしていたと明らかにする。またドーピング検査を受けた選手に全員が祝儀を贈る習慣があったことも発表。
●DeNA
・3月20日、選手間で高校野球を対象としたくじを実施。金銭授受があったと発表。また、投手間で成績上位者への祝儀を贈る習慣、練習中にエラーした選手への罰金制度もあったと発表。
●ソフトバンク
・3月16日、選手が円陣声出しの際に金銭授受をしていたと発表。
・球団職員がベスト8に入った学校を対象に、優勝校を当てる賭けをしていたと発表。
●西武
・3月16日、選手が円陣声出しの際に金銭授受をしていたと発表。
・3月22日、球団関係者(ユニフォーム組)が2013年、笠原将生、Bと都内で4回賭け麻雀をしたと発表。
●楽天
・3月16日、選手が円陣声出しの際に金銭授受をしていたと発表。
●ロッテ
・3月16日、選手が円陣声出しの際に金銭授受をしていたと発表。
●オリックス
・3月15日、選手が円陣声出しの際に金銭授受をしていたと発表。
日本ハムを除く11球団で、こういうことをやっていたことが発覚した。
さすが球界の盟主だけあって、巨人がもっとも素行が悪い。皮肉ではなく、金回りが良い上に、モラルも最も低かったのだと思う。
22日の高木京介の処分発表とともに、各球団が一斉に疑惑の案件を出してきたのは、週刊文春や他のメディアにこれいじょうスクープ情報を与えたくないからだろう。開幕前にすべての不祥事を明るみに出そうとしたのだ。
これは殊勝な心掛けだが、全部まとめて「野球協約上問題がない」として、不問に付そうとするのはさすがにえげつないと思うが。

第180条 (賭博行為の禁止及び暴力団員等との交際禁止) 1 選手、監督、コーチ、又は球団、この組織の役職員その他この組織に属する個人が、次の行 為をした場合、コミッショナーは、該当する者を1年間の失格処分、又は無期の失格処分と する。
(1)野球賭博常習者と交際し、又は行動を共にし、これらの者との間で、金品の授受、饗応、 その他いっさいの利益を収受し若しくは供与し、要求し、申込み又は約束すること。 (2)所属球団が直接関与しない試合、又は出場しない試合について賭けをすること。
(3)暴力団、あるいは暴力団と関係が認められる団体の構成員又は関係者、その他の反社会 的勢力(以下「暴力団員等」という。)と交際し、又は行動を共にし、これらの者との間 で、金品の授受、饗応、その他いっさいの利益を収受又は供与し、要求又は申込み、約束すること。
まず、高校野球くじを「野球賭博ではない」とする明確な根拠がない。法律家によっても見解が分かれるが、「賭博性がある」とする意見も多い。
その場合、第180条の(2)に抵触すると思うが。
また、西武の球団関係者がBと食事を共にし、賭け麻雀をしていた件は第180条の(3)に抵触しないのか。
協約以前の問題として、高木京介ともう一人が裏カジノに出入りし、高額の金品を賭けていた事実は、違法行為だと思うが。
笠原が出入りしていた名古屋の裏カジノ「大吉」は昨年2月に摘発され、店の経営者と客が逮捕された。
高木京ともう一人がその場に居合わせたら、当然逮捕されるが、そのときでも球団は「野球協約には抵触しない」というのか。
昔、江夏豊は野球賭博常習者と食事をしただけで、謹慎処分になり、その結果、いまだに殿堂入りしていないが、40数年経って、野球界の規範はそのころよりも緩んだのか。
野球協約第180条は、本来、一般人よりも高額の報酬を受け取り、誘惑も多い野球選手に対して、より厳しい生活規範を求めるためにあると思うのだが。
そうしないと、「八百長」という最悪の犯罪につながりかねないのは歴史が証明している。それを食い止めるための協約だと思うが。
NPB、各球団の解釈では、野球協約は日本国の法律より「緩い」と言うことになりかねない。
野球選手は、一般から見て非常識、あるいは違法と思われるふるまいをしても許される「特権」があるように見える。
検事上がりの熊崎コミッショナーが、それにお墨付きを与えている。
もし野球協約上問題がないというのなら、なぜ、今後も野球くじや円陣、声出し金銭授受などをやらないのか。堂々とやればいいと思うが。「今日の声出し金10万円は、○○選手がゲットしました」などと発表してはどうか。
「ばれたからやめます、でも、誰にもペナルティは課しません」は、ふつう通らないと思うが。
これが前例になるなら、様々な金銭授受も、野球賭博まがいの野球くじも、裏カジノでの違法賭博も、やくざとの交際も、ばれなければOKということになる。
野球協約にはプロ野球を「公共財」だと謳っている。こんな低いモラルで良しとするなら、この言葉は返上すべきだろう。
もちろん、それでも野球を見に行く人はいるだろうが、嫌になる人も間違いなく一定数いる。
例によって指導者は「この疑惑は、一生懸命プレーしてはらすしかない」というだろうが、世間はそれほど甘くはない。
NPBは、この事件が、プロ野球界に深刻な禍根を残すことをいい加減思い知るべきだ。
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・この際に、球場内や寮で恒常的に違法賭博が行われている事実が発覚するも「野球協約上問題なし」との判断。
・外部の賭博常習者、A、Bの関与が確認されたが、任意の調査には応じてもらえず。
・2015年3月「週刊文春」の笠原、松本の取材記事によって、高木京介の野球賭博関与が明らかになる。高木京介は1年間の選手資格停止処分となる。巨人は高木を契約解除。
・笠原、松本の証言によって、ファンゴ(ノック)の際や、円陣声出しの際の金銭授受が明るみに出る。
・Bへのフジサンケイグループ、週刊文春の取材によって、野球くじと称する野球賭博類似遊戯の実態も明らかになる。週刊文春によれば、Bも参加したとされるが、巨人はこれを否定。
・2015年3月22日、巨人は全選手、首脳陣、球団職員ら299人にヒヤリングを実施。高木京介と他の1人が2013‐2014年に数回にわたりやみスロットを訪れ、その都度10万円程度をかけていたことが判明。1人に厳重注意。球団は「野球協約違反にならない」として他の1人の名前を公表せず。
・Bと面識のある選手がさらに8人いることが判明。このうち3人は賭けゴルフをしていたことも判明。
・この調査では賭けゴルフは42人、賭けトランプは23人が経験ありと答えた。
●阪神
・3月15日、選手がファンゴ(ノック)の際や、円陣声出しの際に金銭授受をしていたと発表。
・3月22日、選手間で高校野球くじを行っていたと発表。優勝校を当てた選手が総取り。また公式戦中にドーピング検査をした選手に祝儀を贈る習慣があったと発表。
●中日
・3月16日、選手が守備のミスの際に罰金を徴収。金は児童養護施設に寄付(修正しました)。
●広島
・3月16日、選手が円陣声出しの際に金銭授受をしていたと発表。
●ヤクルト
・3月22日、昨年、夏の高校野球の決勝で、選手10人ほどが賭けをしていたと明らかにする。またドーピング検査を受けた選手に全員が祝儀を贈る習慣があったことも発表。
●DeNA
・3月20日、選手間で高校野球を対象としたくじを実施。金銭授受があったと発表。また、投手間で成績上位者への祝儀を贈る習慣、練習中にエラーした選手への罰金制度もあったと発表。
●ソフトバンク
・3月16日、選手が円陣声出しの際に金銭授受をしていたと発表。
・球団職員がベスト8に入った学校を対象に、優勝校を当てる賭けをしていたと発表。
●西武
・3月16日、選手が円陣声出しの際に金銭授受をしていたと発表。
・3月22日、球団関係者(ユニフォーム組)が2013年、笠原将生、Bと都内で4回賭け麻雀をしたと発表。
●楽天
・3月16日、選手が円陣声出しの際に金銭授受をしていたと発表。
●ロッテ
・3月16日、選手が円陣声出しの際に金銭授受をしていたと発表。
●オリックス
・3月15日、選手が円陣声出しの際に金銭授受をしていたと発表。
日本ハムを除く11球団で、こういうことをやっていたことが発覚した。
さすが球界の盟主だけあって、巨人がもっとも素行が悪い。皮肉ではなく、金回りが良い上に、モラルも最も低かったのだと思う。
22日の高木京介の処分発表とともに、各球団が一斉に疑惑の案件を出してきたのは、週刊文春や他のメディアにこれいじょうスクープ情報を与えたくないからだろう。開幕前にすべての不祥事を明るみに出そうとしたのだ。
これは殊勝な心掛けだが、全部まとめて「野球協約上問題がない」として、不問に付そうとするのはさすがにえげつないと思うが。

第180条 (賭博行為の禁止及び暴力団員等との交際禁止) 1 選手、監督、コーチ、又は球団、この組織の役職員その他この組織に属する個人が、次の行 為をした場合、コミッショナーは、該当する者を1年間の失格処分、又は無期の失格処分と する。
(1)野球賭博常習者と交際し、又は行動を共にし、これらの者との間で、金品の授受、饗応、 その他いっさいの利益を収受し若しくは供与し、要求し、申込み又は約束すること。 (2)所属球団が直接関与しない試合、又は出場しない試合について賭けをすること。
(3)暴力団、あるいは暴力団と関係が認められる団体の構成員又は関係者、その他の反社会 的勢力(以下「暴力団員等」という。)と交際し、又は行動を共にし、これらの者との間 で、金品の授受、饗応、その他いっさいの利益を収受又は供与し、要求又は申込み、約束すること。
まず、高校野球くじを「野球賭博ではない」とする明確な根拠がない。法律家によっても見解が分かれるが、「賭博性がある」とする意見も多い。
その場合、第180条の(2)に抵触すると思うが。
また、西武の球団関係者がBと食事を共にし、賭け麻雀をしていた件は第180条の(3)に抵触しないのか。
協約以前の問題として、高木京介ともう一人が裏カジノに出入りし、高額の金品を賭けていた事実は、違法行為だと思うが。
笠原が出入りしていた名古屋の裏カジノ「大吉」は昨年2月に摘発され、店の経営者と客が逮捕された。
高木京ともう一人がその場に居合わせたら、当然逮捕されるが、そのときでも球団は「野球協約には抵触しない」というのか。
昔、江夏豊は野球賭博常習者と食事をしただけで、謹慎処分になり、その結果、いまだに殿堂入りしていないが、40数年経って、野球界の規範はそのころよりも緩んだのか。
野球協約第180条は、本来、一般人よりも高額の報酬を受け取り、誘惑も多い野球選手に対して、より厳しい生活規範を求めるためにあると思うのだが。
そうしないと、「八百長」という最悪の犯罪につながりかねないのは歴史が証明している。それを食い止めるための協約だと思うが。
NPB、各球団の解釈では、野球協約は日本国の法律より「緩い」と言うことになりかねない。
野球選手は、一般から見て非常識、あるいは違法と思われるふるまいをしても許される「特権」があるように見える。
検事上がりの熊崎コミッショナーが、それにお墨付きを与えている。
もし野球協約上問題がないというのなら、なぜ、今後も野球くじや円陣、声出し金銭授受などをやらないのか。堂々とやればいいと思うが。「今日の声出し金10万円は、○○選手がゲットしました」などと発表してはどうか。
「ばれたからやめます、でも、誰にもペナルティは課しません」は、ふつう通らないと思うが。
これが前例になるなら、様々な金銭授受も、野球賭博まがいの野球くじも、裏カジノでの違法賭博も、やくざとの交際も、ばれなければOKということになる。
野球協約にはプロ野球を「公共財」だと謳っている。こんな低いモラルで良しとするなら、この言葉は返上すべきだろう。
もちろん、それでも野球を見に行く人はいるだろうが、嫌になる人も間違いなく一定数いる。
例によって指導者は「この疑惑は、一生懸命プレーしてはらすしかない」というだろうが、世間はそれほど甘くはない。
NPBは、この事件が、プロ野球界に深刻な禍根を残すことをいい加減思い知るべきだ。
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Bについては、昨年の調査委員会で、NPBが野球賭博常習者と認定しています。
巨人の8選手や西武のユニフォーム組(コーチ?)はBとの交際、金銭のやりとりがあったのですから、180条1項1号に違反すると思われます。
しかし当該2球団は、「Bが野球賭博常習者とは知らなかった」という理由でお咎めなしとのこと。これで、今後の言い訳がしやすくなったと胸をなでおろしている球団、選手がいるのでしょうね。