今回の高木京介の処分、そして各球団からの不祥事の公表について、各紙の反応を見た。

朝日新聞
は、吉村良二記者の署名記事で、高木京が1年の失格処分になったことについて「後出しじゃんけんが得をした」という印象がぬぐえないと指摘。
熊崎コミッショナーが高木の処分を決定した背景には、NPBが、調査が難航する中で「処分減免も視野に入れた自主的申告制度」を考えていたことがあるとした。これは独禁法にある「課徴金減免制度(表面化しにくい違法談合などを申告すれば課徴金が減免される制度)」に近いものだという。
しかし吉村記者は、この制度は過去の処分との整合性に問題があると指摘。昨秋発覚した選手は無期失格で、ずっと隠してきた選手が処分が軽くていいのか、と言っている。
コミッショナーはこの解決策として「ウルトラC」を用意しているという。
つまり、前の3人の処分解除には5年が必要とされてきたが、これをコミッショナーの裁量で1~3年にすることで整合性を取るという。
吉村記者はそうだとしても「高木投手は無期失格処分が妥当だったのではないか」としている。
朝日新聞は高木京介が同僚選手と闇スロットに出入りしたことも大きく報じている。

私はこちらの違法性を勘案すれば、合わせ技で「無期失格処分」が相当かとも思えるのだが。

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讀賣新聞は、1面で高木の処分を報じ、スポーツ面では無記名記事で「巨人再発防止へ全力」という見出しで、巨人の「野球賭博事案等に関する調査結果」を紹介している。コーチ陣からは「巨人の選手は周りからちやほやされ、勘違いをしている」という指摘があった。
また選手からも「僕らの常識は非常識、そこが問題だった」(二軍投手)や「一度失った信頼はちょっとやそっとでは取り戻せない」(一軍野手)のような声も上がった。
外国人選手からは「選手は大人なのだから、自分の行動は自分が責任を持つべき」という声も上がった。もっともなことだ。
讀賣新聞はそれ以外の論評を避けている。高木京介の処分についても何も言っていない。守勢に回っている印象。

毎日新聞は、スポーツ面で平本泰章、井沢真両記者の署名記事で「巨人の責任『重大』」という見出し。高木の処分が軽いことについて、本人が「同じようなことをしたのに(処分が軽いのは)心が痛い、苦しい」と話したことを紹介。
またNPBの調査委員会が、野球くじや円陣声出しも「広い意味で有害行為が行われていた背景の一つ」と指摘していることも紹介した。
さらに解説では、神保忠弘記者の署名記事で、高木京の処分は「大甘」とし、その背景にNPBの苦しい状況が見えるとした。「告白」のハードルを大幅に下げることによって、全容を解明を進めたいという意向を紹介。このあたり朝日新聞に近い。
大鶴委員長の「処分はするが、選手を苦悩から救い、野球賭博を断ち切るため、制度上で何ができるか」というコメントも紹介している。
神保記者は「野球賭博をそれほど軽く扱っていいのかとの思いはある」と吐露し、これを「司法取引」と断じた。

スポーツ紙でひときわ目を引いたのは、報知新聞だ。
一面ほぼすべてを使って高木の失格処分1年と、契約解除を報じている。他のスポーツ紙が開幕前の球団の動向を報じているのとは対照的。2面、3面もほぼ関連記事で埋め尽くした。

開幕前にすべてを出し切って、事件を「過去のもの」にしたいという思惑が見て取れる。ただ、こうして問題をはっきり出すこと自体はよいことだ。
しかしながら、まだ事件の全容解明が住んでいないのに、申告した選手の失格処分の「減免」が取りざたされるのもおかしな話だ。
今後の調査で、名前が出てきた選手の処分も、高木京介同様「大甘」で行くとすれば、世間の非難はまぬかれないだろう。

何度も言っているが、司法取引をするくらいなら匿名での「内部告発」を奨励するほうがはるかに効果が上がるうえに、世間の同意も得られると思うが。
「チームの一体感を損なう」という見方があるのだろうが、「有害行動」を隠ぺいするような「一体感」は必要ないと思う。


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