あぶさんこと景浦安武は、1946年12月生まれ、1973年にドラフト外で南海に入団している。
キャリアは新潟県北明高校中退-野花食品-北大阪電機。
景浦は甲子園の予選に二日酔いで試合に出たことが発覚し、退学。学校も甲子園を辞退。

景浦と同期入団は、南海の同僚では池之上格、東映の新美敏、ロッテの三井雅晴、太平洋の真弓明信、近鉄の仲根正広、有田修三、井本隆、中日の鈴木孝政、谷木恭平、ヤクルトの永尾泰憲、小田義人、鈴木康二郎、大洋は長崎慶一、田代富雄、広島の池谷公二郎、巨人の小川邦和など。小川はこの年の最年長新人(1947年2月生まれ)であり、景浦安武と同い年。

漫画は、南海が一位指名した、六大学のスラッガー大伴旭が北大阪電機に入団するのを食い止めようと、スカウト岩田鉄五郎が北大阪電機に乗り込むところから始まる。
当時のパ・リーグは1位指名選手に蹴られることも珍しくはなかった。

岩田は景浦の北明高校の監督だった。岩田は、大伴の北大阪電機入団が契約金をアップさせるためのポーズに過ぎないことを見抜いていた。彼の本当の狙いは、かつての教え子、景浦にあった。
しかし景浦は、その日に会社を懲戒免職されていた。
岩田は景浦行きつけの大虎に行き、酔いつぶれている景浦を南海に入団させた。契約金50万円、年俸100万円。
大伴もドラ1で南海に入団するが1年目に目の致命的な病気が見つかり、1年で引退する。

この調子でストーリーを追いかけると、何年もかかりそうなので、以下ははしょるが、景浦は入団早々に野村克也の目に留まり、代打として一軍に定着。
さまざまなエピソードを織り交ぜながら、景浦の野球人生がゆっくりと描かれていく。
月2回というペースも丁度いい感じだった。

初本塁打は、近鉄戦、太田幸司から。偶然知り合った藤村冨美男が、長い竹竿を操って魚を釣ったのに触発されたものだった。

一つ一つのエピソードは、落語に似た味わいがあった。良くこなれていて、からくりや小さな落ちが仕組まれていた。水島新司は抜群のストーリーテラーだった。



2巻では景浦と未亡人のロマンスが描かれる。これは極めて珍しい。あぶさんが女性と一夜を過ごした描写に、私は少なからずショックを受けた記憶がある。

1年目、景浦の成績は4本塁打、打点は不明だが計算上は12以上。年俸は100万円から倍増の200万円に。



3巻では、あぶさんのモデルとされる永淵洋三と差しで飲む。
近鉄へのトレードのうわさも出る。

当時の南海のキャンプ地は和歌山の田辺。南海ナインは、南海電車で和歌山まで行き、そこから国鉄でキャンプ地に行った。



景浦の家庭の様子も明らかになる。父が早く亡くなり、母は再婚している。再婚相手は好人物で、景浦との関係も良好。景浦の大酒は母ゆずりだ。

実際には0本塁打に終わった太平洋の助っ人フランク・ハワードとの本塁打対決あたりから、景浦の怪物性が現れだす。



2年目、景浦は打率.281、6本塁打、22打点。すべて代打。代打で6本はこの時点で高井保弘と並ぶNPB記録。年俸は4度粘って280万円。

ここまでで5巻。

いくつかロマンスやその気配があったが、大虎の娘サチ子とあぶさんの距離は少しずつ縮まっていく。
カコも成長していく。

このころには、私はこの漫画の大ファンになっていた。

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