野球賭博問題で気になっていたのは、OBたちの反応が鈍いことだ。ほとんどの選手が一般論しか言わない。そして、なるべく自分の経験を言わないようにしているように思えた。
ありていに言えば、プロ野球選手は昔から似たようなことをしてきたのだ。
突っ込まれれば、そして事実関係の裏を取られれば、何が出てくるかわからない。そういう怖さを感じているのだと思う。
それでも少しぽろぽろやる。
金村義明は
「二軍でも野球賭博やるなんて、巨人はすごいと思いました」
「競艇や競輪など、合法ギャンブルやればいいんです」
槙原寛己は、「田中裕二の野球部」によれば、タイトルホルダー予想の話を聞いて
「え、金賭けないの?」と言ったという。
「プロ野球の常識、世間の非常識」は今に始まったことではない。
昔から野球選手は「飲む、打つ、買う」を世間とは全く違うスケールでやってきた。
それは昭和の時代では許容されたが、今は常識を逸脱している。
野球界は、常識、モラルの面で、時代から取り残されているのだ。
NPBは組織も選手も時代からずれていることに明確な自覚がないから、こうしたことをやる。OBたちが言葉を濁すのも、その認識がないからだ。
そんな中で、松井秀喜は、野球人としてはじめて明確な判断を示した。
一昨日のBS日経FT サタデー9では、MLB、NPBの違い、開幕後の巨人、「監督にならないのか(答えは「わからない」)」、高橋由伸、指導者論などについて語ったのちに
最後に住吉美紀アナの質問に答えて
「(高木京介の件は)高校の後輩でもあり残念なこと、私としても申し訳ないという気持ちがある。
(野球賭博は)だめなものはだめ。なぜかと言えば八百長につながる恐れがあるから。
ここで12球団の選手全員が、その意識を持つべき」
「50年近く前に黒い霧事件があったが、そういう意識が薄れてきたのかもしれないが、しっかりと再スタートしてほしい」
と述べた。野球賭博については重たい口調だったが、「だめなものはだめ」が、効いている。
スポニチによれば松井秀喜はこの番組終了後に取材に応じ、事件後、高木京介と会ったことも明らかにした。松井は高木が15歳の頃から知っていた。
「僕が会いたかった。いろいろ話しておきたいなと思って」。
2~3週間前に東京都内で約1時間、一対一で顔を突き合わせた。言葉少なで落ち込んでいた15歳下の後輩に対して「本当は怒りたい気持ちだったが、これからのことを話した」「今の自分の立場では出てこない」と話すにとどめた。
一方、個々の選手の意識については「何も難しいことではない。駄目なものは駄目ということを、選手にどう植え付けさせるか」
松井秀喜がこうした行動に出ることができたのは、彼自身が現役時代から野球賭博やおかしな金銭授受行為に手を染めていなかったからだろう。
MLBで成功するNPB選手は、能力の高さに加えて、自己管理力が極めて高い。松井秀喜やイチローも若いころは遊んだだろうが、仕事=野球と遊びのけじめがつかないようなことはなかったはずだ。
高木京介は試合中も野球賭博で賭けたチームのことが気になってスマホを見ていたと言うが、そういう意識の低さ。「自分がいま、何をすべきか」を忘れた行動を心底情けなく思ったはずだ。
解説者、指導者などプロ野球OBは、みんなが松井秀喜のように自己管理ができたわけではない。
「自分も似たようなことをしていた、叩けば埃が出る体だ」という意識があるから、口が重たくなる。
自己弁護の意識も働いて、野球賭博関与者に厳しく非難できないのだろう。
しかし、今、求められているのは「病巣の徹底的な摘出」だ。すねに傷持つOBも、過去をかなぐり捨ててそれを声高に言うべきなのだ。
取材の最後に松井秀喜はこういった。これが一番重たい。
「こういうことがあると、ファンの方はそっぽを向く。子供たちが憧れる世界。プロ野球選手になりたいという気持ちを壊してしまう。それが一番、罪なことだと思いますよ」
野球賭博問題の深刻さをこれほど明確に語った言葉はない。
1976・77年西本聖、全登板成績【二軍で最多勝からの一軍定着】
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突っ込まれれば、そして事実関係の裏を取られれば、何が出てくるかわからない。そういう怖さを感じているのだと思う。
それでも少しぽろぽろやる。
金村義明は
「二軍でも野球賭博やるなんて、巨人はすごいと思いました」
「競艇や競輪など、合法ギャンブルやればいいんです」
槙原寛己は、「田中裕二の野球部」によれば、タイトルホルダー予想の話を聞いて
「え、金賭けないの?」と言ったという。
「プロ野球の常識、世間の非常識」は今に始まったことではない。
昔から野球選手は「飲む、打つ、買う」を世間とは全く違うスケールでやってきた。
それは昭和の時代では許容されたが、今は常識を逸脱している。
野球界は、常識、モラルの面で、時代から取り残されているのだ。
NPBは組織も選手も時代からずれていることに明確な自覚がないから、こうしたことをやる。OBたちが言葉を濁すのも、その認識がないからだ。
そんな中で、松井秀喜は、野球人としてはじめて明確な判断を示した。
一昨日のBS日経FT サタデー9では、MLB、NPBの違い、開幕後の巨人、「監督にならないのか(答えは「わからない」)」、高橋由伸、指導者論などについて語ったのちに
最後に住吉美紀アナの質問に答えて
「(高木京介の件は)高校の後輩でもあり残念なこと、私としても申し訳ないという気持ちがある。
(野球賭博は)だめなものはだめ。なぜかと言えば八百長につながる恐れがあるから。
ここで12球団の選手全員が、その意識を持つべき」
「50年近く前に黒い霧事件があったが、そういう意識が薄れてきたのかもしれないが、しっかりと再スタートしてほしい」
と述べた。野球賭博については重たい口調だったが、「だめなものはだめ」が、効いている。
スポニチによれば松井秀喜はこの番組終了後に取材に応じ、事件後、高木京介と会ったことも明らかにした。松井は高木が15歳の頃から知っていた。
「僕が会いたかった。いろいろ話しておきたいなと思って」。
2~3週間前に東京都内で約1時間、一対一で顔を突き合わせた。言葉少なで落ち込んでいた15歳下の後輩に対して「本当は怒りたい気持ちだったが、これからのことを話した」「今の自分の立場では出てこない」と話すにとどめた。
一方、個々の選手の意識については「何も難しいことではない。駄目なものは駄目ということを、選手にどう植え付けさせるか」
松井秀喜がこうした行動に出ることができたのは、彼自身が現役時代から野球賭博やおかしな金銭授受行為に手を染めていなかったからだろう。
MLBで成功するNPB選手は、能力の高さに加えて、自己管理力が極めて高い。松井秀喜やイチローも若いころは遊んだだろうが、仕事=野球と遊びのけじめがつかないようなことはなかったはずだ。
高木京介は試合中も野球賭博で賭けたチームのことが気になってスマホを見ていたと言うが、そういう意識の低さ。「自分がいま、何をすべきか」を忘れた行動を心底情けなく思ったはずだ。
解説者、指導者などプロ野球OBは、みんなが松井秀喜のように自己管理ができたわけではない。
「自分も似たようなことをしていた、叩けば埃が出る体だ」という意識があるから、口が重たくなる。
自己弁護の意識も働いて、野球賭博関与者に厳しく非難できないのだろう。
しかし、今、求められているのは「病巣の徹底的な摘出」だ。すねに傷持つOBも、過去をかなぐり捨ててそれを声高に言うべきなのだ。
取材の最後に松井秀喜はこういった。これが一番重たい。
「こういうことがあると、ファンの方はそっぽを向く。子供たちが憧れる世界。プロ野球選手になりたいという気持ちを壊してしまう。それが一番、罪なことだと思いますよ」
野球賭博問題の深刻さをこれほど明確に語った言葉はない。
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自分も似たようなことしてたけど、今となってはダメ。と言い切れる人は少ないでしょうね。