朝日新聞
日本野球機構(NPB)は4日、野球賭博問題について、関与を自分から申告した選手は、失格処分期間が無期相当の場合でも、1年とする特別措置を取ることを決めた。賭博問題の全容を解明するため、選手が申告しやすくしたもので、申告期間は6日から25日までとした。
この日、熊崎勝彦コミッショナーが実行委員会で通知し、12球団の了承を得た。
高木京介を前例として、同様に野球賭博に関与していた選手に“自首”を促している。
ただし、これは自分だけが野球賭博をした選手にのみ適用される。仲間を野球賭博に誘うような悪質性の高い選手はこの措置を受けられない。
また、これまでの3選手をさかのぼって救済する措置は取られない。

これをどう見るか、意見は分かれている。

朝日新聞は「苦渋の自己申告制」とし、任意の聞き取りに限界がある中で、ルール内でできることは何でもやる姿勢を示したものだと解説した。

昨日のNHKクローズアップ現代では伊集院静氏が
これは、今の内なら減刑してやる。ここで申し出なかったら、さらに厳しい措置をとるぞ、という熊崎コミッショナーの意思表示だ、とした。(昨日の「クロ現」については後ほど触れる)。
いわば、塹壕に潜っている敵に、総攻撃の前に投降を呼びかけたようなものだ、という解釈だ。

P3026058


私はこの措置がどういう意味なのか、真意を測りかねている。

たとえ特別措置があるとしても、今から「野球賭博をしていました」という選手が出てくることは、NPB、球団にとっても非常に大きなダメージだ。
これまでの調査の手ぬるさ、いい加減さが再びクローズアップされるからだ。
恐らく、巨人から出てくる可能性が最も大きいはずだが、すでにトップ3人の首をすげ替えている巨人にとって、そのダメージは深甚だ。社会的信用をさらに失うだろう。
これまで何度も幕引きを図った巨人には、この措置は好ましいものではないはずだ。
巨人の言うことは何でも聞くはずのNPB、熊崎コミッショナーが、なぜこんな思い切った措置を取ったのか。

1) 巨人の制止を振り切って、あえてそうした

これは考えにくい。NPBの実行委員会で通知し、12球団の了承を得ているのだ。当然、巨人とは事前に話をしていたはずだ。

だとすれば

2) 巨人の意向もあって、今回の措置に踏み切った。

だとすれば、ファンやスポンサーの風当たりが相当きついことが考えられる。
確かに当サイトの読者もそうだし、「週べ」の記事もそうだ。NHKの「クロ現」もそうだ。それ以外にも多くの番組が野球賭博を取り上げ、今回の幕引きへの違和感を表明した。
NPBに批判的な報道をした産経新聞や、テレ朝には抗議をしたり、出禁の措置を取ったりしたが、今回の幕引きに対して納得していない層が想像以上に多いことに、巨人、NPBが危機感を持ったのだ、という解釈はどうだろうか。
広告代理店を通じて、スポンサーのクレームが出ているのかもしれない。これが一番ダメージが大きいはずだ。

だとすれば、NPB、巨人は少しまともな判断をしたことになる。歓迎すべきことだ。

しかし25日までに“自首”する選手が出てこなければどうするのか?
「野球賭博に関与していた選手は、やっぱり4人だけでした」
として、今度こそ幕引きをするのか、
それとも、伊集院静氏が言うように、熊崎コミッショナーはさらに厳しい調査を始めるのか。

また、自首する選手が出てきたとして、そこからどれだけ踏み込んで調査をするのか。

つまり、今回の措置は、NPB、巨人が野球賭博問題に「前のめり」になったことを意味するのか、それとも、何度も失敗している「幕引き」を再度行うための「後ずさり」なのかが見えない。

もし本気で“自首”を迫るのなら、熊崎コミッショナーは25日以降にどういうことを行うのか、選手に予告をすべきだろう。
例えば、25日以降、警察が捜査に乗り出すとか、第三者委員会を立ち上げるとか、ブラックな選手たちが、「これはかなわない」と思うような予告をすれば、実効性は高まるはずだ。



1981年佐藤政夫、全登板成績【12年目での先発初勝利】

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!


好評発売中