子どもの「野球離れ」を象徴的に表すデータがあるので紹介しておく。
笹川財団が出している「子どものスポーツライフデータ」。最近最新の2015年版が出たが、まだ入手していない。2013年版から。大きな変化はないと思う。

4歳から19歳の男子に、複数回答でこの1年間に行ったスポーツについて聞いている。
おにごっこや自転車遊びなどの遊戯も混じっているが、その中で主要な球技であるサッカー、野球、ドッジボール、バスケットボールについてのデータを抽出した。

4-19Danshi


サッカーはすでに4歳で29.4%の子供が経験している。もちろん、球蹴り程度のごく初歩ではあるが、非常に早い。
地域クラブなどに通わせる親もいる。家で父親が一緒に遊ぶケースもある。
サッカーは、幼児の段階からの指導プログラムが確立している。段階を踏んで少しずつサッカーを理解する流れができている。

小学校に入る7歳になると、ドッジボールを始める。これは今も昔も全く変わらない。小学生の球技と言えばドッジボールだった。

野球はようやく8歳から数字が出始める。少年野球はだいたい9歳くらいから入部できる。この前後から経験者が増えているのだ。

しかし15~20%の子供が野球を経験している8~10歳の時期には、6割以上の男子がサッカーをしている。この差は圧倒的だ。
そして少し遅れてバスケットボールが急速に台頭するのだ。
最近、バスケットボールは10代で二番目に経験者が多い球技になったが、それはこのグラフからでも察することができる。

中学生になるとドッジボールは急激に減って消える。これも実感できる。中3になってドッジボールをしている子は昔からいなかった。
この時期になるとサッカーの比率が下がり、野球やバスケとの差が縮まってくる。
部活が始まり、こどもたちは様々なスポーツを経験するのだ。
卓球、バトミントン、水泳なども数字が出てくる。

17歳以降はサッカー、野球、バスケは減少していく。高校、大学になると、さらに多くの選択肢ができて、経験するスポーツの票は割れていくのだ。
しかし、幼いころに慣れ親しんだ「サッカー」の記憶はなくならない。

私の記憶では、中学生くらいまで、学校以外でやる球技と言えば、ドッジボールか野球しかなかった。サッカーはやった記憶がない。
40歳くらいまではそうではないか。

そういう世代は、子供の頃に「野球の身のこなし」が染みついている。気がつけば、なんとなく投球モーションや打撃フォームの格好をしていたりする。そういう人間にとって「野球」は、空気のようなものだった。
「野球気質」のようなものが、知らず知らずに醸成されていたのだ。

今の多くの子供は、それが「サッカー」に置き換わっている。「サッカー気質」に変わっているのだ。

「野球」の将来が、きわめて厳しいのは、知識や技術ではなく、「気質」レベルで野球に慣れ親しでんできた世代が、今後激減するからだ。

一番重要なのは、少なくともサッカーに匹敵するレベルまで「野球気質」の子供を作ることだと思う。



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