本来、日本プロフェッショナル野球協約とは、選手と球団の契約関係を明文化し、選手の権利を確立するとともに、プロ野球を健全に運営するために定められたものだ。
よくプロ野球の「憲法」と言われるが、これは、プロ野球という特殊な興行形態、雇用、契約形態を持つ業界の特別な事情を反映した協約だからだ。

言うまでもないが、野球協約は、日本国の憲法や法律を順守する前提に立って定められている。
法律に抵触する行為は、野球協約に書いていようがなかろうが、当然、禁止される。
NPBが、日本国の一員である限り、当たり前の話である。

しかしNPBや球団は、最近、この野球協約を金科玉条のように振り回しはじめた。

昨年10月の野球賭博の発覚以来、選手の情けない行状が次々と明るみに出たが、その多くは「野球協約に抵触していない」ことを根拠に不問に付された。

「賭けマージャン」「握りゴルフ」の問題。これは明らかに違法賭博だが、賭け金が少なければ刑事罰に処せられることはない。また金ではなく食事を賭けていた場合は違法ではない。NPB、球団はその事実を認めたが「野球協約違反ではない」として不問に付した。

「円陣声出し」にかかわる金銭授受の問題、法律家によって意見は分かれるが「賭博性が高い」との声が大勢を占める。しかしNPB、球団は「野球協約違反ではない」と強調した。

「高校野球くじ」は、さらに賭博である可能性が高いとされているが、NPB、球団は「協約違反」ではないとした。
「高校野球くじ」で問題になっているのは、件のBが、選手と一緒にくじに参加していたか否かだけだ。

そして「裏カジノ」のバカラや闇スロットの問題、これは、明らかな違法賭博である。しかも暴力団の資金源になっていたのだから、反社会的な行為である。
NPB、巨人は、「裏カジノ」に追放四銃士だけでなく、十数人もの選手が行ったことを把握しながら、処分を下していない。「野球協約に抵触していない」との立場だ。
このまま4選手以外の名前を公表せず、うやむやにするのだろうか。

「野球協約」というのは、最強の協約なのかもしれない。
仮にどこかの球団の選手が殺人を犯したとしても、NPBは「野球協約に書かれていない」ことを盾に、その選手の試合出場を認める気なのではないか。

繰り返すが、野球協約は、日本の法律を守る前提で成立している。
さらに言えば、プロ野球選手のような社会的ステイタスの高い人には「法律に触れなければよい」レベルではなく、さらに厳しい規範、モラルが求められているのではないのか。
「巨人軍は紳士たれ」とは、まさにそれをあらわした言葉ではないのか。

バドミントンの不祥事では、バドミントン協会は、2人が闇カジノに出入りした事実を把握した段階で「五輪出場の推薦を取り消す」と言明した。2人は賭博の事実を認めていないようだ。立ち入っただけなら、厳密に言えば違法ではない。しかし「李下に冠を正さず」で、厳罰に処する方針を決めたのだ。
マイナー競技であるバドミントン協会にとって、これは身を切るようにつらいことだと思う。しかし、自ら率先して処断を下さなければ、社会的信用を失う。
実にまっとうな判断だと思う。

2人が所属するNTT東日本は、問題が発覚するや、2人を遠征先から強制的に帰国させた。
そして厳しく聞き取り調査をした。
NTT東日本の顧客は消費者、企業だ。社会インフラを担う企業にとって、企業イメージが損なわれることは経営の根幹を揺るがしかねない。
恐らく厳しい処分をするはずだ。それも日にちを置かずすぐに。
企業のリスク回避の鉄則は「バッドニュースには迅速に対応する」なのだから、

朝も言ったが、これが普通の対応だ。

NPBに所属するアスリートだけが
賭けマージャン、握りゴルフOK、賭博まがいの金銭授受や、高校野球くじもOK、闇カジノもOKなのは、なぜなのか。

もっとも、今後は禁止するそうだ。不適切だと認めるのなら、なぜそれに手を染めていた選手にペナルティを課さないのか。
世間は「ばれちまったから、仕方なく禁止にします」ということではないかとみている。
それで再発がないと断言できるのか。

馳文部大臣はバドミントンの事件に絡んで「強ければ何をしてもいいのか」と語った。そのうえで各競技団体に調査と綱紀の粛正を求めた。

NPBは勝手に「うちはその中には入っていない」と思っているのだろう。2020年は五輪に出る気満々なのに。
なぜNPBは一般企業よりもダーティでも良いと勝手に思っているのだろうか。

例によってNPBは、「死んだふり」をするようだが、世間のまなざしはさらに厳しくなるだろう。

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1970年堀内恒夫、全登板成績【内容良く防御率4位】

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