Facebookでご指摘をうけて思い出したのだが、台湾のCPBLとMLBで通算2000本安打を打った打者が少なくとも一人いる。
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マニー・ラミレスだ。
MLBで2574安打を打ち、本塁打王、打点王、首位打者にも輝いたマニーは、とにかく自由奔放で、わがままな打者としても知られた。
ボストン・レッドソックスでは左翼を守り、グリーンモンスターに当たる打球処理はうまいもんだったか、守備そのものはうまいとは言えず、打つだけの選手だった。
ある試合で左翼の飛球をキャッチして、勢い余って客席の方に走りこんで、観客とハイタッチをしたのを見たことがあるが、面白い反面、実に扱いにくい選手だった。

3年前の6月、マニー・ラミレスが台湾に移籍するというので、豊浦彰太郎さんと見に行った。
マニーは桃園を本拠とする義大ライノスに入り、DH4番を打った。
こんな超大物は、NPBでさえ移籍したことがない。同じ年にアンドリュー・ジョーンズが楽天に来ていたが、マニーはアンドリューよりさらに大物だった。
それだけに台湾のファンは、マニーを一目見ようと球場に駆け付けた。

試合前、マニーはバンダナを脱いでバッティングケージに入り、バットを振った。感心したのは、1球1球しっかりと球を見つめ、丁寧にボールを打ち返していたことだ。
他の台湾選手が当たりそこねをいくつも打っていたのに対し、マニーはほとんど打ち損じはなく、糸を引くようなライナーを打っていた。
その丁寧な姿勢に感銘を受けた。その時に撮った動画。



マニーは、義大では182打数64安打8本塁打43打点。打率.352、すでに41歳だったが、CPBLでは段違いの打撃を見せた。
マニーは米台合わせて2638安打を打ったと言えばいえるが、その数字に意味はない。
野球の先進国から後進国に「降りていって」、手を抜くことなく素晴らしいパフォーマンスを見せたことに意味があると言えよう。

イチローは、NPBにいても、おそらく4000本近い安打を打ったと思う。MLBに最初から挑戦しても、やはり4000近い安打を打っただろう。
しかし、だからイチローは偉大なわけではない。

野球という“言語”だけを頼りに異文化圏で地歩を築いたその勇気と、賢さ、ひたむきさに心惹かれるのだろう。

マニー・ラミレスはアメリカから台湾に「降りていった」が、イチローは日本からアメリカに「上がっていった」。
よりイチローの方が大変な努力を要しただろうが、両者ともに「異文化を体現して見せてくれた」という点で、同じくらい興味深いトライアルだったと思う。

今季、台湾のレジェンドと言われる大打者張泰山が四国アイランドリーグplusの徳島でプレーしている。39歳の朝の成績は、31試合110打数28安打3本塁打19打点.255
台湾史上1位の2134安打を打つ張だが、四国ではそれほど成績を上げていない。
けれども、その風格と打撃に触れるのは貴重なことだと思う。

イチローを契機として、こうして野球で異文化交流をする選手たちにもっと注目してほしいと思う。



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