報知新聞が報じている


「コリジョン(衝突)ルール」について、日本野球機構(NPB)が運用基準の見直しを検討していることが29日、分かった。新たな基準では、実際に衝突が起きたかどうかが重視される。本塁で捕手(または本塁カバーに入った野手)が走路に入っても衝突が生じなかった場合、アウトの判定を変えずに捕手に警告を与える場合もある。後半戦からの見直しを目指す。

確かに現行のコリジョンルールは、結果として衝突事故も起こらず、普通にアウト、セーフが判断できるケースであっても、捕手が走路を塞げば、適用されることがある。ビデオ判定によって、アウトがセーフに覆るケースがいくつか出た。

もともと、コリジョンルールは、ポージー・ルールと言われるように、MLBのスター捕手、バスター・ポージーが本塁上で激しいタックルを受けて負傷したことから制定が進められた。

走者が野手めがけて激しくぶつかるプレーを抑制するのが主たる目的で、その関連として捕手も走路を開けるなど、リスクを減じることが定められた。

しかしNPBで運用がスタートすると、走者へのペナルティはほとんどなく、捕手が一方的に規制されるルールとなった。
本塁上でのクロスプレーが、ビデオ判定で覆るケースが続出。
捕手は、送球を受ける際のポジション取りに神経を使い、緊迫感のあるクロスプレーの魅力が減じられた。見る側も「コリジョンあるかな」と思いながら見るので、興が殺がれる。

コリジョンルールには、走者が捕手に体当たりすることを禁じるルールもあるのだが、換券する限り、走者にこのルールを適用されたことはほとんどない。

結果的に捕手の動きを規制するだけのおかしなルールになっているのだ。
何度か触れたが、日本では守備側に激しくタックルするようなプレーはほとんど見られない。そうした実態を見ずに、MLBのやり方を盲目的に導入したために、こうしたおかしなことになっている。

今回の改正案は、要するに「衝突がなければコリジョンルールは適用しない」ということだ。
走路を妨害した捕手の警告を与えるとしているが、イエローカードのようなものではない。
要するに「コリジョンルールを骨抜きにする」決定だ。

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NPBでは過去にもいったん導入したルールを骨抜きにすることがあるように思う。

直近では、2011年から統一球とともに導入された従来よりも広いストライクゾーンが、2012年の途中から元に戻された(と推測される)ケース。一切公表されていないが、SO/BBがそのあたりから激変している。

SO/BBの推移
2010年 セ 2.28 パ2.38
2011年 セ 2.56 パ2.86
2012年 セ 2.30 パ2.30
2013年 セ 2.09 パ2.10

意外に柔軟な適用をしているのだ。

今回もコリジョンルール騒動は、こう言う形で収束させるつもりだろう。

走者については、激しいタックルをすればコリジョンルールを宣されてアウトになるケースは、依然あるだろうが、捕手は、走路を妨害したときに「警告」が与えられる程度でおとがめなしになる。

現実的ではあると思う。しかし、現実に即さないルールを軽々に導入したNPBの思慮の浅さは、誹りをまぬかれない。


1976年八木沢荘六、全登板成績【プロ入り10年目で初の2ケタ勝利】

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