原辰徳の件、読者のご指摘があって修正した。事実関係としては、女性関係を暴露された原辰徳が1億円を工面して裏社会に支払い、それを巨人サイドが隠蔽。週刊文春に暴露されると裏社会とは知らなかったと強弁したわけだ。


当時に、それについて何本かブログを書いていたのだが、記憶の上で、だんだん事実関係が怪しくなってしまった。申し訳ない。

改めて当時書いたブログを見直してみた。
ナベツネが健在だったことがよくわかる。

「(原監督は)絶対に辞めさせないよ。問題は25年前の女性関係…あったって時効だわな。その間、女房以外と関係がなかったと自信のある人いますか? ま、みんな若いからな。原は被害者だ」
そして、お得意の法廷闘争に持ち込んだわけだ。
「これは裁判で全部はっきりするから。すべて法廷で言うよ。実名から何から、球団名も全部出てくるんじゃないかね。出さざるをえない。しようがない。こっちも追い込まれているんだから、本当のことをいう」
原監督と関係があったとされる女性の日記について「原君だけじゃなくて、何人かの重要な選手の名前も出てくるんだよ」

この事件についてリークしたのは前年、清武の乱を起こした清武英利であるとして、原はこんなコメントを出している。

巨人軍の選手、OB、関係者を傷つける報道が相次いでいます。たくさんの暴露が行われ、 巨人軍関係者を混乱させ、選手、OBを苦しませています。私は監督という立場で心を痛めてきました。
こんなことがなぜ続くのか。清武さんのほかに、いったいだれがいるのか。
今回は、私のことで良かったと思っています。(中略)
巨人軍を育て、守り、築いてきた偉大な先輩方がたくさんいられます。未来へ夢をつなぎ、 巨人軍の八手を願っている方もたくさんいられます。清武さんもその一人だと信じます。
巨人軍の一員だったことを誇りとして、これからを歩んでください。
まだ間に合います。


“いられます”って変な言葉遣いだ。「射られます」「炒られます」。

4年たって、ナベツネは存命中だが、5月末に90歳となり、その発言はほとんど聞こえてこなくなった。
たまに映像で見ると、人に介助されて大儀そうに車に乗り込んでいたりする。
野球とばく事件に絡んで巨人からは完全に手を引いた。
いまだに讀賣グループのドンであり、政界にも隠然たる力を持っているとされるが、本当かなと思う。

原辰徳も昨年限りで監督を辞めた。おそらくは今年、この判決が出ることもあって、昨年限りという既定路線が組まれていたのだろう。
彼も野球協約違反に問われることはない。

そして讀賣内部で反乱を起こした清武英利は、原辰徳事件とは別に、内部文書を持ち出して選手の裏金などの情報をリークさせた疑いをもたれた。清武も今は鳴りを潜め、海外にいるともいわれている。

事件の当事者は今、あらかた舞台から姿を消した。
しかし、事件そのものは、高位の人物が関与していた上に、野球協約違反が確定している点で、野球とばく事件よりはるかに深刻だと言ってよい。

けれどもメディアは動かない。関係者がすべて「過去の人」になってしまったために、ニュースとしての「花」がなく、視聴率が取れないのだ。
朝日新聞をはじめとする「政敵」も、バリューがなければ攻撃しない。

世間が騒がないから、最高裁が事実上「野球協約違反」を認定したにもかかわらず、検事出身の熊崎勝彦コミッショナーも動かない。

不正が行われていても、「面白くないから騒がない」という、今の風潮は「巨悪がメディアを抑えている」というような図式よりも不健全な気がする。「無関心」の方が本当は深刻なのだ。

こんな調子では、NPBの改革など進むはずがないだろう。

8521661



1976年八木沢荘六、全登板成績【プロ入り10年目で初の2ケタ勝利】

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!


好評発売中