誰かやってくれないか、と思っていることがある。1936年以来のプロ野球の公式戦のスコアカードを見返して、今の基準でSTATSを記録しなおすことだ。Syokuyakyuさん、いかがでしょうか。
特にセーブの記録。1974年以前の記録は、公式には残っていない。日本のクローザーの草分けと言われる巨人の宮田征典は、65年19勝を挙げたがすべてリリーフで、他に今の基準では22セーブを記録、併せて41セーブポイントになるというデータは昔から出ているが、他の投手についてはさっぱりわからない。

ただ、クローザーとしての指標は、セーブ以外になくはない。「交代完了」略して「完了」という記録である。先発投手や中継投手からマウンドを引き継いで、終了まで投げた試合数。もちろん、セーブになるケースだけでなく、勝敗なし、勝ち、引き分け、サヨナラ負けも含まれているが、完了が多い投手は、今で言うクローザーに近い役目をはたしていたのは間違いがない。

2011年修了時点での200完了以上の投手のランキング。グレーは2011年時点での現役投手。Gは登板。GSは先発。RPは救援登板。RP%は登板に占める救援登板の割合。GFが完了。SV/GEは、完了に占めるセーブの割合。

RF-20111102


歴代最多完了は江夏豊。206勝、193セーブ。セーブ制度がここまで普及したのは、大投手江夏が、クローザーに転向したことが大きい。圧倒的な力量だったことが分かる。その下には、クローザー専業投手が並ぶ。彼らはほとんど先発経験がない。新しい時代の投手たちだ。岩瀬仁紀は、来季、今年同様の活躍をすれば、江夏の完了記録に迫るだろう。

9位以下には、昭和中期までの歴史的な大投手と、最近のクローザーが混在している。私は、昭和期の思わぬ投手の名前が出てくるかと思ったのだが、そういう名前はほとんどない。セーブ制度導入以前のNPBでは、先発完投で20勝を上げるような大投手が、先発しない日にはクローザーとして登板していたことが、これではっきりわかる。

一流のクローザーは完了した試合がセーブになる確率はほぼ50%を超えている。推測だが、完了数9位の金田、10位の稲尾などは、今の基準なら200セーブを超えていたのではないだろうか。江夏級の活躍をしていたと思う。

完了の記録を調べてみて、分業以前の野球は、現在と大きく異なっていることを改めて確認した次第。