坂本勇人が海外FA権を獲得したという。坂本は「もっと試合に出たい」というにとどまった。


今、セ・リーグにはどんどん面白い野手が出てきている。
ヤクルトの山田哲人、DeNAの筒香嘉智、広島の菊池涼介、鈴木誠也。巨人の坂本は「出てきている」は失礼だ。27歳ですでに1328安打している。
こういう伸び盛りの選手が何人も出てくることで、劣勢久しいパへのリベンジも実現することだろう。

少し前なら、こういう若手はポスティングでMLBに行くべき、と言ったものだが、昨今のMLB日本人野手の惨状を見ると、簡単には言えないなと思う。

言い古されたことではあるが、パワーの問題はいかんともしがたい。9番打者でもバックスクリーンに打ち込むようなMLB選手との差は埋まっていない。

山田のフルスイングは確かに豪快だが、あの体格で、と思ってしまう。ダスティン・ペドロイアのように、小さな体で長打を飛ばす打者はMLBにはたくさんいる。屈指の長距離打者のホセ・バウティスタも巨漢ではない。しかし、山田にそうした打撃ができるのか。

このところの筒香の打撃は目を見張るものがあるが、ずっと見ていて思うのは、この選手はセンスのいい中距離打者ではないかということだ。スランプも長いし、メンタル的にMLBに適応できるだろうか。

何よりの懸念材料は、MLBに挑戦した選手の成績が、帰国後芳しくなくなることだ。中には田中賢介や昨日2回目のサイクルヒットを打った福留孝介のように頑張っている選手もいるが、岩村明憲、中島裕之、西岡徹らは故障もあるが、低迷したままだ。
全盛期の数年をMLBへのむなしい挑戦で終えてしまうことのダメージは相当大きいのではないか。
昨今の状況を見れば、猫も杓子もMLBに行け、とは言えない。
またMLBも、日本人野手大歓迎ではなくなっている。ちょっと使ってダメだったら、すぐにマイナーに下げられる。
日本ではイチロー以来の安打製造機だった青木宣親も終戦が近い。

坂本は働き盛りでの2000本が達成可能だ。まだ20代前半の山田、筒香はそのペースを上回るかもしれない。確かに彼らはNPBの記録を塗り替えるために活躍すべきかもしれない。

では、もうNPBからMLBに行って通用する選手はいないのか?
そうではないとは思う。MLBで通用しそうな選手はいる。

フィジカルでいえば柳田悠岐だ。私は昨年、山田哲人と柳田の本塁打の飛距離と方向を調べたことがあるが、山田の当たりは左翼席に極端に偏っていた。飛距離は120m台が最多。柳田は反対方向にも何本も打っていた。また140m級の一発もいくつかあった。

体も大きいが、身体能力でも柳田はずば抜けているのではないか。脚力、肩、長打力。少し前の糸井嘉男に似ているが、糸井よりもスケールが大きそうだ。
こういう選手のほうが良いと思う。

ただ柳田は今季、四球攻めで大きく成績を落としたように、メンタル面でどうか、と思う部分がある。厳しいMLBの競争環境で通用するかどうか。

今後は、NPBで好成績を上げたからと言って、自動的にMLBに行くようなことはなくなるだろう。
適性を見て、MLBに行くようになっていくだろう。
より本質的な意見を言えば、MLBに最初から挑戦するアマチュア選手がもっと増えないと厳しいのではないか。
今は、加藤豪将一人。4年目21歳の彼は今、ヤンキース傘下のAで42試合146打数36安打1本塁打16打点4盗塁.247と苦戦している。もうプロスペクトとは言えない。

彼がいなくなると野手マイナーリーガーさえいなくなる。このルートでの日本人の流入が本当に期待される。

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