一昨日、観客動員の話をした中で、地方のお客が痩せていることを取り上げた。地上波で野球中継をしない地方で、野球ファンが減っている。独立リーグは、その隙間を埋める選択肢の一つだと思うが「独立リーグなんて誰も見ないから意味がない」という読者が散見された。ショックを受けた。



当サイトではずいぶん前から独立リーグの話題を取り上げている。
実際に現地へも何度も足を運んだし、監督や社長、選手にも話を聞いてきた。近著では、独立リーグ機構の鍵山誠会長にも話を聞いた。
そんな中で、独立リーグの果たす役割、将来性について非常に重要だという認識を持っていたのだが、読者はそうではないようだ。
独立リーグを取り上げた当サイトの記事が、多くのPVを集めることはまずない。みんな興味がないのだ。

「独立リーグなんて、プロ野球の真似事だ」
「そんなレベルの低い野球なんて、誰も見ない」

そういう人は、おそらく一度も独立リーグを見たことがないし、その存在意義など深く考えたこともないのだろう。それは言外に「私は、野球ではなく、有名な選手や満員の観客を見に行っているのです」と表明していることになる。

今、NPBが、多くの観客を集めているのは「野球が好きな人が増えたから」ではない。

「大谷翔平や、山田哲人などの”有名人”を見てみたい」
「応援席で、みんなと一緒に騒ぎたい」
「満員の観客席で、非日常の盛り上がりを感じたい」

要するに、「私はメジャーなイベントを見てきた、参加してきた」という高揚感を味わいたいために、スタジアムに駆けつけているのだと思う。
今世紀に入ってから、やたらと増えた「勝ち組にまわりたい」という人が多いのではないかと思う。

それ自体は、悪いことではない。そういうフォロワーが増えないとどんな業界も繁盛しない。
しかし、当サイトに来られる人は「野球ファン」だと思うので、「独立リーグなんて誰も見ない」などという情けないコメントがきたのは残念だった。

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確かに独立リーグには、NPBにある「有名人」「派手な応援」「満員の観客」といった要素は、一つもない。
しかし、独立リーグはレベルが低いわけではない。
独立リーグでは、甲子園に出場した選手もプレーしているが、彼らは口々に「高校野球よりレベルが高い」「このままではついていけない」という。
ソフトバンクや巨人の三軍とも互角の勝負をしているし、今日行われるドラフト会議でも、何人もが指名されるだろう。

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要するに読者各位の中には、「受け身」の人がいるということなのだ。自分で調べたり、深掘りしたり、わざわざ見に行ったりすることなく、メディアで普通に流れている情報を口をあけてそのまま受け取り、反応しているのだ。「有名でないもの、メジャーでないものは、だめだ」という固定観念にとらわれているのだ。
それは、リテラシーが高いと言えないし、賢いコンシューマーともいえないだろう。

私は2005年、始まったばかりの四国アイランドリーグを見に行った。
人もまばらな球場で、見慣れないユニフォームを着た選手が繰り広げる野球は、新鮮で、物事の始まりらしい気の張りを感じた。ここから「新しい野球」が始まるのだ、それに立ち会ったのだという感慨を覚えた。

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その後、何度も取材をする中で、独立リーグが危機を迎えつつある野球界で果たす役割は、非常に大きいと確信するようになった。

今日はそのことについて、もう少し書いてみようと思う。


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