独立リーグはNPBへの日本人の人材供給源になっているだけではない。もっと多様な意義もある。




補足するが、独立リーグからドラフト指名がかかった選手は、契約金の10%を独立リーグ球団に支払う。又吉克樹の場合、契約金6000万円だったから600万円が香川オリーブガイナーズに支払われた。経営規模が小さい独立リーグにとって、これは非常に大きなインカムだ。

日本人新人選手の場合、ドラフト以外でNPBに入る手段はない。独立リーグからもNPBに行く場合も、ドラフトを経由するしかない。だからチャンスは年に1回だけだ。

しかし、外国人選手は随時移籍が可能だ。
そして独立リーグには外国人枠がない。何人でも外国人を入れることができる。これによって数年前から、外国人選手にとって独立リーグはNPBへの「登竜門」となっている。
独立リーグには、米のマイナーリーグの選手はあまり来ない。
多くは米独立リーグの選手だ。またアメリカ以外の国からの選手も多い。
外国人選手の移籍に際しても、独立リーグにはNPBから移籍金が支払われるから、ビジネスとしても成立する。
香川にいたマエストリあたりがその走り。写真は香川時代のマエストリ。昨年はネイラーが中日に入った。

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四国アイランドリーグplusは、昨年から、選抜チームを編成して渡米し、アメリカの独立リーグと試合をしている。
これは選手に経験を積ませるという目的もあるが、試合を通じて米の選手の値踏みをしたり、売り込みを受けて、独立リーグ、NPBに紹介するという目的もある。
また、四国は有料のトライアウトを実施し、選手を獲得している。いわば、四国アイランドリーグplusは、市場として機能しているのだ。
その構想の中には、アジア圏などからの人材獲得、NPB、さらにはMLBなどへの人材供給も明確に打ち出されている。

四国は、アメリカや世界との交流に消極的なNPBを補完する役割を果たしているのだ。
今年は台湾から、CPBL史上最高の選手である張泰山がやってきて、四国でプレーした。残念ながらNPBに行くことはできなかったが、こういう形で世界の野球選手が活躍の機会を求めてやってきているのだ。

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もう一つ重要なことは、いわゆる「野球馬鹿」に、社会の実相を知らしめる役割を果たしているということ。
独立リーグの指導者は、原則としてNPB出身でなければならない。毎年のように監督やコーチが独立リーグにやってくるが、これまで「飛行機のチケットを取ったことがない」人さえいるという。
独立リーグは地域貢献も必須となっているが、これもNPB出身の野球人にとっては「聞いてないよ」になることが多い。
「野球さえできればいい」で育ってきた野球人の中には、社会常識が全くない人もいる。そういう「野球馬鹿」は、何でも自分でしなければならない独立リーグにやってきてカルチャーショックを受けることも少なくない。拒絶反応を起こして、短期で帰っていく人もいるが、社会常識を身に着けて成長する人も少なからずいる。
エリートではなく、経済基盤も弱い独立リーグは、それだけに社会とのつながりがなければ生きていけない。ゆがんだエリート思想に染まりやすい野球界において、稀有な「まともな組織」でもあるのだ。
地域貢献は、サッカー界では当たり前のことだ。プレミアリーグでもJリーグでもフランチャイズでの地域貢献は必須だ。有名選手でも必ず時間を割く。
野球は「見せてやる」という意識が極めて強く、社会とのつながりをほとんど考えてこなかった。急速に進行する「野球離れ」は、その付けが回ったという側面もある。

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野球離れを食い止めるためには、野球界全体が社会性を身に着け、「社会の一員」になっていく必要があるが、それを先取りしている独立リーグは、手本になっていくと思う。



1971年村田兆治、全登板成績【初の2ケタ勝利&オールスター出場】


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