これはMLB側の観測気球であるかもしれない。アメリカのメディアが、2017年のWBCの収益次第ではこれが最後の大会になるかもしれないと言い出している。

身勝手な話である。

そもそもWBCは、MLBとMLB選手会が言い出したものだ。
国際化戦略を重視したバド・セリグ前コミッショナーが「野球のワールドカップを作ろう」と言い出したのは12年前。
その後、財政的に苦しかったIBAFに資金援助をし、野球の「ワールドカップ」をやめて「WBC」を世界野球頂上決戦にした。
中米諸国、東アジアなど野球が盛んな国に声をかけるとともに、ヨーロッパやアフリカ、南米なども誘って無理やり「ワールドカップ」の体裁を整えようとした。
だから「国籍」は、実にルーズ。一度も故国に行ったことのないような選手も「それ系」であれば、OKにした。

日本や韓国、台湾などは、すでにオリンピックの野球競技で、国際大会が盛り上がることを知っていたから乗り気になったし、他の弱小国も、それなりに頑張った。
しかし、肝心のMLBが、全く乗り気でなかったのだ。

巨額の複数年契約で抱え込んだスター選手が、ペナントレースでもない試合で怪我でもしようものなら大事だ。まだ体のあったまっていない春先にそんなことさせるなんて、とんでもない。
NPBとは異なり、MLBのコミッショナーは、優秀なビジネスマンであり、MLB球団のオーナーはその恩恵を受けている。
だから、セリグ親分の言うことは聞かなければならないのだが、面従腹背で「とんでもない」と思っていた。

それにもともと、アメリカのファンは国際試合に興味がないのだ。
彼らは北米4大スポーツと言われるドメスティックなイベントが世界一面白い。「オリンピック?ワールドカップ?なんだいそれは?」という調子である。

WBCが東アジアで大盛り上がりする反面、本場アメリカで全く盛り上がらなかった。

MLB側は最初からそれは織り込み済みで、アメリカでの収益には全く期待していなかった。
MLB選手会などは、それよりも盛り上がっている東アジアから「どれだけ金がとれるか?」ばかり考えていた。
しかしそれもNPB選手会の抵抗にあって、それほどうまくいかなかった。

で、コミッショナーがセリグ親方からロブ・マンフレット親方に変わったのを汐に、やめようと言い出しているのだ。
保護主義を標榜するドナルド・トランプが次期大統領に就くことがどれだけ影響しているのかわからないが、そういう風が吹いているのは間違いないだろう。

日本がしっかりしているのなら、WBC、そして2020年東京五輪などを見据えて、新たな国際大会を、もうちょっとまともなビジネスモデルにして再構築すべきである。

熊崎コミッショナーにそれを託するのは無慈悲なことではあるが、「侍ジャパン」に有能なビジネスマンを招いて、日本からの「野球国際化」を目指すべきだろう。
望み薄なのは知っているが、一応言っておきたい。

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