2人の読者の方から、今の少年野球指導を象徴するようなエピソードをもらった。これを掲載したい。

まずはFBつながりのお友達、Yさん。

ここ最近、野球の指導者と武道の指導者を比較して考えるようになっています。

私の倅は野球と空手、私は少年野球の指導と柔術を習っていますが、倅のチームの監督が練習や試合の際に罵声や怒号を浴びせるのに対して、空手や柔術の指導者は絶対にそんな言葉は出しません。
何故なんだろう…、きっとそれぞれに級が上がり黒帯になり、そこから指導者になるまでの資格を得るシステムが確立されているからでしょう。

一方の野球は近所にいる昔の腕自慢の野球小僧がやっているようなもの。これじゃあキチンとしたシステムが出来上がった競技、サッカーに競技人口も流れて行きますって。

それでいて「野球道」なんて言って武道の如くにしてただ理不尽な事も修行の一環みたいにしている。
中にはNPO法人として普通より高額の運営費を取って怒号も罵声も無い指導で強いチームもあるようですが、まだまだ主流にはなっていません。
このシステムが上手く発展するようならば少しは期待出来るかもしれませんが、そこにプロやアマの高いレベルの協力が得られるならばもう少し期待値が上がると思います。

先々週、明学大の少年野球教室にチームで参加しましたが、そこでの優しく丁寧な指導をして下さった学生諸君がその姿勢のままに指導者になってくれることを切に望みます。


日本野球は武道の影響を受けているというが、本家の武道が国際化などもあってどんどん変化しているのに、野球は変化していないということを如実に物語っている。
そしてライセンスがないために、質的にばらつきのある指導が行われている。

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つぎは当サイトにコメントいただいた野球好きさん

本稿と直接関係ないかもしれませんが、野球の危機を感じたので。

先日、私の知人の小学生の子が隣県の少年野球の大会に参加すると言っていました。

私は普段対戦しないチームとの戦いはさぞ士気があがるだろうと思い、その子に話を聞いてみたが当人は浮かない顔をしていました。

何故だろうと思い詳しく聞くと、その大会はわざわざ他県から参加するにも関わらず、負けたら終わりのトーナメントの大会で、当の子供からすると車で長時間移動するだけの苦痛でしかないから嫌だとはっきり言っていました。

負けても、敗者同士で試合があるのではと聞いてはみたが、そんなものはなく、負けたらすぐ帰りだと言い、本当に嫌だと言っていました。

案の定その子のチームは一回戦で負け、わずか一試合のためにわざわざ隣県まで試合をして終わりだったようでした。

野球少年たちは練習も楽しいかもしれないが、やはり試合をするのが一番楽しく成長する機会であるはずなのにこんな仕組みでは裾野拡大など夢に過ぎないと感じる出来事でした。

すべての少年野球の大会がそうだとは言わないけれども、このような大会運営が蔓延るような野球の、競技人口が減少する理由の一端を垣間見た気がしました。

プレーヤーズファースト、シンプルな言葉ですが野球の普及に関わる人にはその言葉の意味するところを深く理解してほしいと願います。


トーナメントは日本野球の最大の特色の一つだ。発祥の地アメリカではリーグ戦が主流。トーナメントは甲子園がその発祥だが、その淵源には武芸の御前試合などがあると思う。
トーナメントは「1戦必勝」だから「勝利至上主義」につながりやすい。選手に無理をさせる風土の温床でもある。
また、試合数が少ないので、異様に長い練習時間にもつながっている。

いろんな意味で「野球の現場」は改善されつつあるが、それでもこうした「昔の野球」の風潮は根強く残る。
指導者の質の問題が根底にあると思う。

今後も読者各位の言葉を紹介していく。




nabibu-Yakyu01
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