FBでこういう記事を教えてもらった。
卒業生を加害指導者にさせない! 日体大が超本気で企画した「一生もの」の講義とは


学校の部活で我が子を亡くした親たち遺族らが、暴力、パワハラの悲劇を日体大の指導者、学生たちに語ったというものだ。

日体大でも体罰、暴力沙汰は起きているが、日体大に限らず、日本の体育会系の大学、学部で、暴力沙汰を起こしたことがない学校は、ほとんどないのではないか。
高校の部活でも、多くの指導者は生徒に暴力をふるったり、恫喝したりして従わせようとしてきた。

桑田真澄さんが早稲田の修士論文を書く際に取ったアンケートでは、プロ野球選手などトップクラスの選手の3~4割は過去に指導者から暴力を受けたことがある。それ以上にショックなのは、過半数の選手が「ときには体罰も必要」と答えていたことだ。

今の指導者に話を聞くと、ほぼ全員が「自分たちは、殴られ蹴られしながら育ててもらった」と話す。
スポーツで強くなるには、暴力的な指導は必須のものであり、それに耐えてこそ一流になるという価値観を持っている。
そしてこれまた一様に「今の世の中は、それではだめだから」叩いたり蹴ったりしていないともいう。
その言い方には「そんな生ぬるいことではだめなのだが」という無念さがにじみ出ている。

昔、女子バレーの監督で、選手に言うことを聞かせるために性的関係を持っていた人間がいた。「女子は難しい、こうでもしないということを聞かない」といっていた。この男は逮捕されたが、新聞は「行き過ぎた指導」と書いた。

少なくとも少し前までの日本のスポーツ界、そしてメディアは狂っていたとしか思えない。
他者に暴力をふるうのは犯罪である。教え子と性的関係を持つのは、同意、不同意の別なくこれも犯罪である。
部活顧問という強い立場で、そういう犯罪行為を働いた人間は、教育者ではなく犯罪者だ。「行き過ぎた指導」という言葉はまったく不適切だ。

これまで、日本のスポーツ指導者は「勝つために選手に言うことを聞かせる」のが指導だと思っていた。「ときには暴力も必要だ」と思っていた。
つまり、スポーツとは、選手を精神、肉体の恐怖にさらし、追い込んで言うことを聞かせることだと思っているのだ。
まともな神経なら、そういうことに耐えられないだろうが、多くの選手は「スポーツとはこういうものだ」と思って育ってきた。また親も、暴力は「指導の熱心さのあまり」だと思っている。こういう形で日本のスポーツは続いてきた。

日本のスポーツがどこかせせこましく、みじめなのは選手の「人間性」が十全に発揮されていないからだ。スポーツは自己表現ではなく、修行なのだ。
日本のアスリートの中には「スポーツは仕事であり、楽しいと思ったことはない」と公言する人がたくさんいる。
毎日どつかれ、殴られ、ののしられていては、楽しいはずもないだろう。

そういう選手が羽目を外すと、覚せい剤やとばく、犯罪行為に走るのではないのか。要するにスポーツができることの代償に「理性」「人間性」を喪失しているのだ。

日本の国に本当の意味での民主主義や人権意識が根付いていないことの証左なのだろう。

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スポーツの成果は(アートも学問もみんなそうだが)、自発的な努力、創意工夫、鍛錬の結果として得られるものであり、一人一人の感性や能力の発露だ。だから美しい、人を感動させる。

従来の日本のスポーツ指導は、人本来の才能を開花させることではなく、只管勝つことを追い求めていた。教育ではなく、調教に近いものだったと言えるだろう。

マスメディアは「愛の鞭」という言葉が好きだ。
「あのとき、厳しく指導してもらったから、今はどんなことにも耐えられる人間になった」
確かに耐えることはできるようになったかもしれないが、自分で考えたり、他者に気づかいをしたりする感性は失われているのではないのか?

拙著にも書いたが共同通信のコラムによれば、アメリカの野球指導者が、日本の指導者に「お前の国じゃ、マフィアが野球を教えているんだろ?」と言ったという。

「野球」は、最も成功した「部活」である。それだけに旧弊で、野蛮で、人権意識が最も乏しい部活になっているのではないか。
今年も、私は何人もの高校野球指導者が生徒に罵声を浴びせるのを見た。強い学校程そうだった。私の目の前で、指導者は暴力は振るわなかったが、恐怖で生徒を支配していた。そういう体質は変わっていない。

もちろん野球、そして多くのスポーツで改革の機運がある。これではいけないと思っている指導者がたくさんいる。しかし残念ながら、大勢は変わらない。

多少野球が弱くなってもいい、ライセンスを導入してそういう「野球マフィア」を排除して、まともなスポーツに変えていくべきである。


1976年山口高志、全登板成績【スタート出遅れも2ケタ勝利&9S】

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