吉田のフルスイングを見て「門田さんに似ている」と言ったのはオリックスの酒井勉コーチのようだ。酒井コーチは門田と同僚だった時期があるから、それなりに根拠はあるのだろうが、違和感を抱く。


私は1970年代から門田の試合を見ている。1988年には60試合ほど大阪球場で見た。バックネット裏が多かったが、門田は吉田とはタイプが違う打者だと思う。

門田は170㎝81㎏の小柄だったが「小兵」という印象は全くなかった。

打席に立ち、足の位置が決まると、どかっと腰を落ち着けて動かない。
バットは耳の後ろの位置にまっすぐ立てる。握りは軽いが、バットはぴたっと垂直に決まって動かない。「神主打法」の異名もあった。
この姿勢で投球を待つ。
打つべき球が来ると、右足をぐっと引き上げて球をとらえ、フルスイングする。飛距離はずば抜けていた。
静から動への移り変わりが鮮やか。
このメカニズムがあって、好球必打の判断力があって、本塁打を量産した。

確固とした打撃フォームがあって、好球を待つセンスがある。そして忍耐強さがある。
その点では門田は王貞治と共通する要素がある。
大きなものしか狙わないという意味で、純粋のスラッガーだったように思う。

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吉田は打席での動きが大きい。状況に合わせて体を動かす打者にように思う。
バットは、肘をまげて、左肩の前で構える。軟らかい握りなのは門田と同じだが、インパクトの瞬間を目で確かめたいのではないかと思う。
また、投手に合わせて膝をよく使う。高低にも合わせようとしている感じだ。
フルスイングのすごさは同じだが、そこに至るプロセスは門田とだいぶ違う。
ホームランも打つが、二塁打も多い。クラッチヒッタータイプではないか。
率も打点もホームランも狙える。その点では、構えは違うが掛布雅之に似ているように思う。

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今、門田のようにフォームを固めてツボにはまったら大きいのを打つような打者はあまりいない。
T-^岡田や中田翔などはそんな感じもするが、フォームはしょっちゅう変化する。
変化球が多く、臨機応変な対応が必要な方向に野球が変わったからだろう。

吉田正尚はまさに現代の野球を生きる打者であり、新しい魅力がある。その小さな体で、来季はすごい成績を上げるのではないか。


1976年山口高志、全登板成績【スタート出遅れも2ケタ勝利&9S】

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