正月はプロ野球選手が出演するバラエティ番組を何本か見た。熱心に、というほどではないが。


昨夜は「ジョブチューン」というバラエティがあった。何度かプロ野球選手をネタにしている番組だ。
昨夜の顔ぶれは渋かった。ロッテの石川歩、鈴木大地、DeNAの井納翔一、中日の平田良介。ドジャースの前田健太や阪神の藤浪晋太郎も出ていたが、かなりのプロ野球ファンでなければ顔と名前が一致しないだろうと思う。
しかし、彼らはプロ野球の一流選手だということでステイタスがあり、番組に呼ぶ価値があるのだ。
石川歩のマイペースや、井納翔一の宇宙人などのキャラがクローズアップされたのは、面白かった。

大谷翔平はもはや別格で、十把一絡げでこういう番組には出演しない。番組の目玉として、特別枠で出演する。ジョブチューンでは彼の165km/hを体感するというコーナーがあったが、本人は出演せず(この番組は、企業の宣伝、広報に乗っかる典型的な"安上がりバラエティ"だ)。

プロ野球のスター選手がオフにこういう番組に出るのは、日本独特の習慣のようだ(台湾、韓国は後追いしているが)。アメリカでは巨万の富を得ているスター選手は、オフはゆったりとプライベートを楽しんでいる。スター選手をリスペクトするアメリカでは、彼らのプライベートは尊重されるのだ。

ただ、前田健太は、テレビに出るのが本当に好きらしい。とんねるずの「夢対決とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」の「リアル野球盤」にも出ていたし、他の番組にも顔を出していた。彼も歴としたMLBのスター選手だが、VIP扱いは望んでいないのだろう。

毎年やっているとんねるずの「リアル野球盤」。
今年は見ているのがつらかった。杉谷拳士が先輩の中田翔を挑発する図式がクローズアップされすぎていた。杉谷も中田も無理をしているように思えた。番組もだらだらと長くて、とんねるずだけが楽しんでいる、彼らを接待する番組のように思えてしまった。前田健太は喜々として楽しんでいたようだが。

私が子供の頃も正月には、プロ野球選手がよくテレビに出ていたが、ほとんど巨人の選手ばかりだった。
王貞治や長嶋茂雄は別格で「ミユキ野球教室」で新年の抱負を語るくらい。V9戦士の堀内恒夫や柴田勲などをよく見たように思う。歌番組で柳田真宏が美声を披露したこともあった(彼はのちにムード歌謡の歌手になるのだ)。

巨人以外の野球選手がバラエティ番組に出演したのは「プロ野球ニュース」以降だろう。
パ・リーグや巨人以外のセの試合も平等に紹介したこの番組は、オフには選手のふるさと訪問などさまざまな企画をやった。巨人の選手しか知らなかったファンは「プロ野球ニュース」を通じて他球団の選手のプロフィールを知ったのだ。その意味で「プロ野球ニュース」の果たした役割はとてつもなく大きい。

こうしたバラエティ番組が今も成立するのは、視聴する世代が高齢化しているからだ。
「ジョブチューン」では、選手を引き立て役としてネプチューン、バナナマン、土田晃之が出演していたが、彼ら40代の芸人はまだ「野球世代」だ。知識も十分にあるし、野球選手をリスペクトしている。
視聴者もこの世代より上がメインになっていると思う。

しかし30代前半から下の世代は、プロ野球への関心は急速に薄れている。芸人もこの世代になると「野球世代」ではなくなる。
ジャルジャルは、ラグビーを応援する番組に出ていた。それより下では「サッカー世代」の芸人が幅を利かせるようになる。

何度も紹介しているように、20代以下では野球はマイナースポーツだ。プロ野球選手のステイタスをありがたがるこうした番組は、早晩、すたれていくに違いない。

近い将来、「昔はプロ野球選手というだけで、テレビに出してもらえたんだよなあ」と思う日が来るだろうと思う。

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