日刊ゲンダイが大谷翔平にインタビューしている。
インタビューで「行きたい球団」について聞いている。

いろいろ有意義なことも聞いているが、これ引っかかるなあ。

――以前、カーショウ(28=ドジャースのエース)が憧れだと話してましたけど、憧れのメジャー球団はありますか?

「球団はないですね。日本人選手が行く球団は限られてましたし、選手が行く球団ばかり日本では取り上げられるのでそういう球団ばかり目に付きますけど、特に行きたい球団とかはないですね」

――入札制度は移籍金付きFAのようなもの。希望する球団に行けるわけで、ワールドチャンピオンになれる球団がいいとか、体のことを考えて暖かい場所がいいとか、そういうのはありますか。

「どうなんですかね。まぁ、行くと決めてからじゃないと……なかなかね、そこまで考えられないです」


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私は毎年、データを調べて、MLBのレビューとプレビューを書いているが、この質問がいかに無意味かを実感する。

MLBのチームは、芝居の一座のようなものだ。オフになり、興行が終われば、一座は解散になる。
中には契約が残っている選手もいるが、FA年限に達していない選手を除き、ほとんどの選手は自動的にFAとなる。改めて契約交渉をしてもとの球団に残る選手もいるが、大部分の選手は移籍する。

有名選手とて例外ではない。大型契約を結べばその期間は在籍できるが、契約が切れれば選手は球団が再契約を望まない限り、残ることはできない。多くの選手は、球団への未練などなく移籍していくのだ。

日本の野球界のように「巨人でなきゃやだ」「関東圏のセ・リーグ」みたいな選り好みをしても、プロ入り後の運命は全く分からないのだ。実力がなければ即刻放り出されるし、実力があってもトレードに出される。
「この球団に骨をうずめます」なんて、球団も望んではいないのだ。

昔、伊良部秀輝がMLBに渡る際「ヤンキースでなければ嫌だ」と強引に主張し、保有権のあったパドレスと三角トレードでピンストライプのユニフォームを着たことがあった。
実父に会うために、露出の多いヤンキースに行きたかったという説もあるが、伊良部はヤンキースで29勝を挙げたものの、期待に応えたとは言えず、4年目にはモントリオール・エキスポズにトレードされている。エキスポズは最も不人気な球団だった上に、アメリカではなくカナダの球団だった。
どれだけ球団に思い入れがあっても、成績が伴わなければ、また、球団がトレードをしようと思えば、躊躇なく放出されるのがMLBだ。トレード拒否権を含む特約を結ぶ例はあるが、選手は球団へのロイヤリティからではなく、身分の安定を求めてそういう特約を結ぶのだ。

MLBではフランチャイズでキャリアを終える選手は、ヤンキースのデレク・ジーターなど極めて限られている。
今朝紹介したジョー・マウアーもその一人だが、彼のように大型契約を結んだために、身動きが取れなくなってしまう例もある。
昨年は盛り返したが、エヴァン・ロンゴリアもその恐れがある。

大谷翔平にとっても、ファンにとっても、MLBでの最大の関心事は「どんなパフォーマンスをするか」であって「どの球団に入るか」は大した問題ではない。

もちろん、ポスティングに応じるのはヤンキース、ドジャースなど金満球団だろうが、どこに入ろうと、やることは変わらない。
メディアも「意中の球団」などというNPB的な発想に、あまり意味がないことをそろそろ知るべきではないか。


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