甲子園の「罪」の中で、深刻なのはマスメディアとの癒着だろう。



昨年、スポーツ庁の鈴木大地長官は、高野連に対して、高校野球開催時の阪神甲子園球場の使用料を支払うとともに、NHK、朝日放送、毎日放送に対して放映権料を請求するように是正勧告をした。健全経営を行うように指導したのだ。

しかしこのことは、メディアではほとんど報道されなかった。
鈴木長官は同じタイミングで高野連に高体連に加盟するように促した。また試合に出られなかった球児を他のスポーツに転向させることも提案した。このことは報道されたが、他は一切出なかった。
高野連が高体連に入らず、唯我独尊になっていることも、高校野球が大量の「野球をしない野球部員」を発生させていることも問題だ。しかし、それ以前に、高野連が「払うべき金を払わず、貰うべき金をもらっていない」こともこの組織の体質を考えるうえで深刻な問題だ。
しかし、朝日新聞、毎日新聞はグループ会社が絡むことでもあり、高野連のネガティブな一面だったためにこれを黙殺した。また他のメディアは高野連に「出禁」を食らうのが怖さに押し黙った。

どんな組織、機構であっても問題点、是正すべき部分はある。スポーツ庁は学生野球連盟、高野連を全否定したわけではなく、時代に即して経営を改善するように勧告しただけなのだが、メディアには箝口令を敷いたのだ。

IMG_8623


一事が万事、このありさまなのである。
朝日新聞、毎日新聞、そして系列のスポーツ紙は、甲子園、高野連に関するネガティブな出来事は報道しない。
野球部の暴力沙汰などの報道は、学生野球連盟が事実を確認したものを後追いするだけ。刑事事件になるなど、犯罪行為そのものは報道するが、それが「高校野球の体質」に起因すると受け取られないような書き方をする。
要するにごく一部のおかしな生徒、指導者が引き起こした限定的な事件だ、という扱いなのだ。
だから高校野球の深刻な不祥事は、週刊誌報道からしかでてこない。

さらには、昨今の「野球離れ」に関しても、報道は控えめだ。原因を深掘りすれば、甲子園を頂点とする青少年野球の歪んだ体質に言及せざるを得ないからだ。

一方で、新聞系のメディアは、高校野球を賛美する記事や番組を量産している。

「熱闘甲子園」に代表されるこうしたコンテンツは、高校野球の素晴らしさを大げさに書き立てる。しかし花巻東の「最後のノック」のように、教育、スポーツの在り方としてはどう考えてもおかしいようなものまで賛美する。はなはだしく中立性を欠く情報発信をしているのだ。
これでは甲子園、高校野球に問題、不祥事が起こっても、正面から批判する記事など書けるはずがない。

このことが「野球離れ」の実態を世間から隠蔽し、野球界の危機を増大させているのだ。

以下続く。



2016年牧田和久、全登板成績【あらゆるリリーフ承ります】

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!