さすがに近年は「野球離れ」に対する危機感が高まっているようで、さまざまな動きが見える。



早稲田大学野球部は毎年11月に少年野球教室を開いている。軟式野球と硬式野球の少年野球チームが対象だ。

NPBは文科省に働きかけて「ベースボール型ゲーム」を学校のカリキュラムに導入することに成功した。止まっているボールを打つゲームだ。

NPBの各球団は、普及部を設置し、各地で普及活動を行っている。球団職員になった元プロ選手が指導をしている。

名球会も「少年野球教室」を開いている。

独立リーグもオフの時は野球教室を各地元で開いている。

宮本慎也は企業の支援を得て、無償で幼児に野球を教える教室を行っている。

そしてスポーツ用品メーカー21社は「野球・ソフトボール活性化委員会」を作って野球競技人口の拡大を目指そうとしている。

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危機感は広がっているのだ。もう関係者で「野球は大丈夫だ」と思っている人はそれほどいないだろう。

しかしながら、こうした動きは、横の連携がほとんどない。みんなばらばらに動いているだけだ。
目標も方法論も異なっている。

多くはすでに野球をやっている子供を集めて指導をしている。昔ながらの普及活動だ。目的はその中から「ものになりそうな子供」を見つけることだ。

それは「野球離れ」を食い止めるうえでは、効果的ではない。その野球教室に来ていない子供にアピールしなければ意味がない。

「ベースボール型ゲーム」は注目すべきだが、それを学校ではなく、地域のクラブや幼稚園などで始める必要がある。

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おそらく教え方も、子供への接し方もばらばらのはずだ。多くはいまだに「挨拶の仕方」「整列の仕方」から入っているはずだ。わざわざ子供が嫌がることから始めているのだ。

また球団の普及は「野球のすそ野拡大」だけでなく、チームへのファンの獲得や親会社のイメージアップ、知名度アップを兼ねたものも多い。

普及への熱意はわかるが、エネルギーを思い思いの方向に放散させて、空費しているように思う。

サッカーの場合、幼児の指導は「キッズリーダー」というライセンスを持った指導者が一手に担っている。子供への接し方も、カリキュラムも、みんな統一されている。
それが当たり前だと思うのだが。

プロ、アマが野球について考える「日本野球協議会」と「野球・ソフトボール活性化委員会」など各団体、組織が集まって知恵を出して、せめて幼児の普及活動だけは、一緒にやることはできないのか。
ライセンスを作って、底辺拡大を始めることはできないのか。

そうしないと「野球離れ」対策は、いつまでたってもスタートラインにさえ立てないと思う。

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