ノムさん、それはないでしょう。

TBS「S1」で田中将大と共演した野村克也は
WBCを辞退したことについて「口には出して言いにくいけどお金だろ？」
田中は「まさかの一言が」と苦笑した。

野村は年配者など、NPBからMLBに選手が移籍することを快く思わないファンを意識して言ったのだろうが、これは心無い発言だ。

田中がWBCに出ないのは、ヤンキース側が「意思を尊重する」といいながらも田中への巨額の投資と、彼が抱える肘へのリスクを考え、間接的に引き留めたことが大きいだろう。
田中自身も、WBCで投げた経験からリスクを考え、最終的に苦渋の判断をしたのだ。

これを「金だろ」と切って捨てるのは、あまりにも酷薄だ。
確かに、田中の判断は最終的には「経済的判断」と合致している。資産としての選手を保全しようとする球団側の意向を、田中が汲んだわけだから。
しかし、WBCが、投手にとって大きなリスクであることはまぎれもない事実だ。ドントレル・ウィリス、松坂大輔のように、WBCでの活躍を契機として、成績が急落した投手がいる。田中は「爆弾もち」でもあるから、この判断は妥当なものだった。

野村は軽口のつもりかもしれないが「お前は日本の名誉より金をとったんだろ」と、面前で言ってのけたのだ。これは残念だ。

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そもそも論で言えば、プロは「金」である。野村克也の師匠の鶴岡一人も「グランドには銭が埋まっている」と言った。
野村克也も貧困から這い上がるために頑張ったはずだ。
「金のためにプレーする」ことは、何ら恥ずかしくもないし、責められる謂れもない。

WBCで多くの選手が、苦しい判断を迫られるのは、彼らの責任ではない。WBCそものものの在り方、マネジメントが不備なために、こういうことになっている。

「己を犠牲にしてでも日本のために頑張るべきだろ」という同調圧をかけるのは間違っている。

野村が今の選手だとして、WBCに出場することになれば
「春先からコンディションを上げるのは無茶だ」「こんな日程を組みやがって」
とぼやいたに違いない。

立場が違ったからと言って、失礼なことを言うのは情けない話だ。

田中将大は、恩師のこの言葉をダッシュボードにぽいと捨てて、堂々と休んでほしい。そしてレギュラーシーズンで「出場しないで正解だった」ことを見せつけてほしい。


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