これが議論になるとは全く思わなかったので、意外の感ありではあるが、武田の選出が当然の帰結だったことを説明する。
2013年のWBCで日本が敗退して山本浩二監督が退任し、小久保裕紀監督になった。
以後、大きな国際試合は今回を含め、6回行われている。
ここに起用された投手を一覧表にしてみた。

Kokubo-Pitch


37人の投手を起用している。

2013年秋の台湾戦は、まだ小手調べの段階であり、一線級の投手をあまり呼んでいないが、以後は各球団のエース級を毎回召集している。

武田翔太は2014年の日米野球から侍ジャパンに入っている。小久保監督にとって、元いたチームと言うこともあり、召集しやすかったということだろう。
大谷翔平、則本 昂大、前田健太もこのとき初めて呼んでいる。

2015年11月のプレミア12から菅野 智之を招集。小久保の侍ジャパンはこのあたりからメンバーを固めてきた印象があるが、武田翔太は先発投手では最も古株であり、最も気心が知れた投手だった。

侍ジャパンは大会ごとに召集されるが、最終目標は2017年のWBCであり、そこへ向けて徐々に顔ぶれを絞り込んできたとみるべきだ。
もちろん、その中で不振や故障のために落ちる選手もいる。貴重な左腕先発の大野雄大や小川 泰弘、西 勇輝などがそれだ。

しかし一線級の成績を上げているなら、また、WBCでもちゃんと仕事をしていれば、これを落とす理由はない。
今回の武田翔太の落選は、極めてイレギュラーだったのだ。
おそらくは誰かを入れるために、落としたのだと思う。

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緊急招集である。
ここへきて、一度も呼んだことのない菊池雄星や有原航平、岩貞祐太、涌井秀章などを招集するのは本人の心構えの面でも、調整面でも考えにくい。ボールにも慣れていない。

同じソフトバンクの飯を食った仲である。小久保裕紀は武田を外すに際して「何かあったときには頼む」と一声かけたのではないか。工藤監督にも耳打ちしたかもしれない。
武田の「準備していました」の弁がそれを裏打ちしている。

率直に言って他の投手を起用する積極的な理由が見当たらない。

ボールが合わないとか小さな理屈はいくつも付けられるだろうが、それは木を見て森を見ず、の類だろう。

「野球」というスポーツも人間の集団がやる限り、コミュニケーションの問題が付いて回る。
武田が成績が悪かったのならともかく、大人の判断が働くとすれば、他の選択肢は少なかったのではないか。


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