昨日のキューバ戦、4回の山田哲人の飛球をめぐって、炎上騒動が起こっているという。

山田の左中間への大飛球はフェンスの最頂部に達したが、そこで少年が差し出したグラブに収まった。
一度は本塁打が宣せられたが、本来、フェンス頂部に当たって跳ね返るべき打球が、観客によって捕球されたのではないかと言う疑義が審判団が出されてビデオ判定となった。
今大会の東京ラウンドでは、本塁打に限り、ビデオ判定がされる。
横方向からの再生動画で見る限り、山田の打球の軌道は、観客席の最前列に向かって伸びているように見えたが、審判の判定は二塁打。山田は二塁に留め置かれた。

この判定を呼んだ少年の行動が批判の的になっているようだ。
本来なら本塁打になるべき打球が、少年の捕球によって二塁打になった。これによって侍ジャパン、山田は1点を損したと。

基本的にこの少年の行動には、大きな非はない。野球場にグラブをもっていくことは、球場側も奨励している。ファウルボールの捕球は野球観戦のたのしみのひとつだ。
ましてやホームランキャッチは、一生に一度あるかないかの幸甚だ。

観客が飛球をキャッチして非難されるのは、一三塁のファウルゾーンなどで、野手がキャッチする余地があった打球を「横取り」するケースだ。試合展開を左右しかねない。観客は試合に介入することは許されない。MLBでは退場処分になることもある。

しかしながら、今回のケースは外野手の守備を妨害したわけではない。
少年は外野フェンスから大きく身を乗り出したわけではなく、少し腕を伸ばしただけでボールをキャッチしている。彼の行動はごく自然だ。
もちろん、本塁打か否かの疑念が起こると想定して、手を出すのを控えるべきだったという批判はできる。「軽率」のそしりはなくはない。
しかし、ホームランが自分の目の前に飛んできて、とっさにそれを取らない判断ができる人は稀有だろう。ましてやグラブを持った彼は、野球ファンだったはずだ。そして「軽率」は、少年の特権だ。馬鹿をやっても許される年代だ。

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彼はあとで球場側から注意を受けたようだが、それは形式的なものだったはずだ。「2度とするな」と言われても、2度あることではないからだ。

彼はこのことをSNSで披歴したようだ。それに対し、非難の声が上がり、顔写真や住所、氏名がさらされそうになっている。

私はSNSは単なる通信手段だと思っているので、私事を披歴するする習慣はない。こういうことをすれば、炎上するのは明らかだ。
それを予測できなかった少年は愚かだが、彼を非難する連中は何の権限があってそうするのか。なぜ彼を「犯人」というのか。

昨今、自分は匿名の安全な立場に身を隠して、他人の非をあげつらい、社会生活を営むのが困難なほどに非難する輩がいる。
「こいつは叩ける」と思えば、臭いものにたかるハエのように、対象にむらがり、炎上させる。およそ人間の中で最も卑しい類の連中だと思う。
こういう輩は、臭気がしないようにビニール袋に入れて口を堅く縛り、ゴミの日に棄ててしまうべきだ。野球なんか見るな。

野球のことばかり書いている私だが、あえて言う。たかが野球である。山田が1点損しようと、それでWBCで日本が負けようと、誰が死ぬわけでもない。野球はそんなえらいもんではない。

少年の「軽率」愛すべし。彼はこれからもグラブをもって外野席に座ってほしい。



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