MLBマンフレッドコミッショナーの外国人記者協会での発言をさらに読み解いていく。
鈴村裕輔さんのまとめである。

(5)トミー・ジョン手術の増加
・大リーグとして、故障が発生した年齢、状況などの情報を収集し、分析している。
日本では若い頃から投手が酷使されていることが故障の原因ではないか。
・大リーグでは“Smart Pitch”という教育プログラムを導入し、年齢や状況に応じた適切な投球の習慣を身に着けさせるよう、取り組んでいる。


トミー・ジョン手術のデータは術例数が増加するとともに、精度が大幅にアップしているように思える。
手術そのもの、術後のリハビリなども飛躍的に進歩している。この点でも、日本ははるかに後塵を拝している。

主として高校野球、甲子園での日本人投手の酷使については、近年かなり改善されてるが「伝統文化」を重んじる高野連の老人の頑迷さ、無責任さによって、本質的な改革には至っていない。昔ながらの高校野球の指導者は、今となっては害悪の方が大きいと思うが、どうなのか。

MLB傘下のマイナーリーグでは、WBCなみの球数制限をしているという。それがスタンダードになりつつある。

MLBの基準でいえば、日本の投手は傷物ばっかりである。

次世代の野球選手へのケア、リスクヘッジという点でも、日本はアメリカに大きく後れを取っている。

PB110195


(6)ヨーロッパへの野球の普及
・ヨーロッパは、米国との文化の違い、試合時間の長さ、試合運びの点で、野球の普及が進まない。


アジアやアフリカではなく、ヨーロッパに野球を普及したいと思っている。経済的にもレベルが高いし、スポーツそのものへの理解度も高いからだ。
しかしアメリカ人がヨーロッパにスポーツを売り込む試みは、ほとんど成功していない。
文化、価値観が大きく違うからだ。

試合時間の長さ、試合運びよりも前の問題だけでなく、クローズドリーグとオープンリーグとか、勝負のつけかたとか、スポーツの本質論にさかのぼる差異を埋めないとだめだろう。

基本的に自己中で上から目線のMLBでは、難しいのではないかと思う。


『野球雲 vol.8』出版記念 広尾晃さん&松井正さんトークショー&サイン会


私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!