読者氏のコメントで江本孟紀が、高知で野球振興の実が上がっていると言っているのを知った。
江本は、国会議員経験もあり、野球界では屈指の論客だ。しかし、結果的に張本勲や野村克也とあまり変わらないことしか言っていないのは残念だ。
高知ファイティングドッグス、高知大や高知工科大、四国銀行のトーナメントが行われ、それがCATVで中継されたのを知って、地域での野球普及が進んでいると感心したとの記事である。
おめでたい限りだと思う。高知では中学の野球少年が1000人を切りそうだ。2010年から600人も減っている。
そもそも野球王国高知で、めぼしい硬式野球チームが4つしかないという現実に気が付くべきだろう。
野球界は、着実にやせ細っている。そのことを、江本ら大物野球人は知ることなく終わるのだろうか?

このところのWBCの熱戦は、野球の普及には確実にプラスだろう。オランダ戦の視聴率は25%を超え、最高瞬間では32%に達したという。

今回の大会を見て、改めて思いを強くしたのは「野球のルールに野球離れの大きな原因はない」ということだ。確かに5時間近い大勝負は見る側も疲弊したが、それだけ時間がかかることに、それなりの理由があった。
試合時間が長いから2アウトチェンジにしろとか四球を三球にせよとかいう意見が、いかに的外れかもはっきりした。ルールに大きな非はない。

ただ、MLBのように果てしなく延長戦をやるのはもう無理だと思う。あの試合で延長戦が延々と続けば、両軍は投手をすべて使い切ってしまう。そうなれば、翌日以降の試合は棄権する事態にもなりかねなかった。
タイブレークは、しっくりこなかったが、NPB同様、引き分けを導入することも検討すべきだっただろう。

WBCの熱戦を見て、「いつかは自分もあそこでプレーしたい」とあこがれた少年は、全国にたくさんいたことだろう。そのこと自体は本当に喜ばしい。
サッカーもワールドカップでの日本の活躍が、子供たちをサッカーに惹きつけた。
その点では、国際大会の意味はドメスティックなスポーツにとって非常に大きい。

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しかしながらWBCとワールドカップでは、大きく異なる部分もある、
サッカーの場合、Jリーグの開設とワールドカップへ向けた選手の強化は車の両輪のようなものだった。国際的な舞台で日本の選手が通用することが、Jリーグのステイタスを押し上げ、サポーターや競技人口を増大させる。サッカー協会はそういうストーリーを想定して永年準備をし、それを一つ一つ実現させたのだ。
もちろん、今は、国際的なサッカーへの関心は高まっているのに、Jリーグの観客動員には反映されないというジレンマを生んでいるが、それは次の段階に至っての話だ。そこまでの筋書きは十分成功したと言えるだろう。

しかし野球の場合、WBCで子供たちが野球に興味をもっても、それを受け入れる体制は整っていない。地域には煙草片手に罵声を上げるような指導者がまだ幅を利かせている。彼らはMLBのことなど知らない。指導法もバラバラ、サッカーのように「国際的な選手を育成する」などの崇高な目的ももっていない。
例え野球に興味をもっても、すぐにその興味を萎えさせるような残念な指導者しかいないのだ。
まだそれでも少年野球があればましだと言えるかもしれない。多くの地域では、少年野球そのものが消えてなくなっている。

WBCの将来もおぼつかないが、3月に入ってからの大盛り上がりを野球の将来につなげることができない現実が空しい。
今のままなら、WBCは衰退する日本野球の下り坂に咲くあだ花に過ぎない。




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