一昨日のキューバ戦、早々に2失点した菅野智之は、3回のマウンドを降りるときに、唇をゆがめた。
3回で2失点。レギュラーシーズンの菅野にしては不出来ではあるが、それでもペナントレース中ならそんな顔はしなかっただろう。
まだ挽回の余地はあるし、そもそも1度先発に失敗しても、彼の評価が落ちるわけではない。長いシーズン中には菅野ほどの投手でも、そういうことはあるものだ。

しかしWBCでは、実質的なエース菅野の不振は、侍ジャパン、ひいては日本の戦いが終わることに直結しかねない。
そのプレッシャーが、菅野をして顔をひきつらせることになったのだ。
一つの失敗も許されない、やり直しがきかないゲーム。

レギュラーシーズンとWBCは、シチュエーションが異なる。選手たちは実戦に臨んでそのことに気が付き、モチベーションが変わっていくのだ。

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例え体制がいい加減でも、国によっては注目度が低くとも、ギャラ的に合わなくても、ひとたび国の名前のユニフォームにそでを通し、国対国の対戦に臨めば、意識がガラッと変わってくるのだ。

アメリカの若い選手(イエリッチだったっけ?)は、USAのユニフォームを着て、はじめてその意味が分かったと言った。
アレナードは子供の時に父親の母国キューバが日本に負けるのを見て、WBCに出たいと思った(アメリカのユニフォームになったが)。

限られた試合数の中で、ほとんど一戦必勝になる試合形式、そして「国」。国際試合ならではの魔力が、WBCを熱くする。

そのことに気が付かない選手や国にとっては、ナンセンスとしか思えないだろうが、多くの人々はレギュラーシーズンと違う濃密さ、真剣度の高さに惹きつけられるのだ。

野球の国際試合WBCは、野球のためにはやはり必要だろう。多くのコメントでも指摘がある通り、カードや日程の不備もあるし、開催時期も適切ではない。
しかし、それでもレギュラーシーズンとは違う濃度で野球の魅力をアピールすると言う点で最強のコンテンツだ。

特に今回は、アメリカでの一次ラウンドでの各国の熱さが目立っている。アメリカが一人冷めている感じだったが、ひざ元での熱戦は、MLB幹部の意識の変化ももたらすのではないか。

どこが優勝するかわからないが、今回の大会が終わったらWBCを「必要なもの」と規定しなおして、より魅力的に、そして参加国、選手にも納得性が高いものに改革していくべきではないか。
サッカーのワールドカップの足元にも及ばない大会ではあるが、改革の内容によっては沈みゆく野球界の救世主的なイベントになるのではないか。



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