(わざとこの本を出している。ねんのため)

のぶ。さんのご指摘のように、高木京介が、球界復帰を目指し、申請すること自体には問題はない。
それを容認する野球界に問題がある。
40年も前の話で恐縮だが、江川卓は、法政大学を出て1年浪人し「空白の1日」で巨人に入団しようとしたが、金子鋭コミッショナーの判断でそれはできなくなった。巨人は怒ってドラフトに不参加。江川の指名権は阪神が獲得した。ここで金子コミッショナーの「強い要望」によって、江川は阪神から巨人にトレードされ、小林繁が阪神に移籍したのだ。
この異常な選手獲得劇によって、野球界、巨人の信用は失墜した。

しかし、いったんそういう形が公認されれば、江川は他の選手と身分的に何ら異なることはない。評価や表彰面でも差別されることがあってはならない。
その後、沢村賞選考過程で成績抜群の江川が受賞できないことがあった。このときには一部記者が江川に入れることを潔しとしなかったようだ。これはその記者がジャーナリストの本分を忘れ、私怨を交えたということだ。公私混同と言ってもよい。
江川は曲折があったにせよ、入団したのだ。それ以後は差別されることがあってはならない。
記者は、江川の入団を阻止できなかった己の覇気のなさ、無能を恥じるべきであって、江川を不当に扱うべきではない。「罪と罰」の関係には整合性がなければならない。

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同じことが今回のことでもいえる。
「1年で復帰できる」制度を決めたのは熊崎勝彦コミッショナーだ。法曹界出身だが、せこい取引をして高木京介を自陣に引き入れた見返りに、彼を「有期刑」にしたのだ。
その後、野球賭博や裏カジノの問題が、徹底的に解明され、患部が全部摘出されたのなら別に構わない。
しかし、以後、野球賭博や裏カジノ関係で名前が挙がった選手、関係者は皆無。
高木の処分を最後に、NPBは早々に幕引きをしてしまった。

熊崎コミッショナーは「100年の禍根」を残したと思う。野球の「汚い部分」「甘やかされている部分」を嫌う人が増えている中、自浄能力を発揮できなかったのは痛恨の一語だ。

現時点では、裏カジノに出入りしている野球人が発覚したとしても「知らなかった」と言えば、おとがめなしになる。昨年、NPB、球団がそういう判断をしたことが前例になっているのだ。
公営ギャンブル以外で金銭授受を伴う賭博行為をすれば「違法」ではあるが、野球協約上は「セーフ」なのだ。法律よりも緩い協約など、存在する意味がないと思うがどうか。

その後、物まねタレントの清水何某の息子が裏カジノに出入りしていることが報道され、息子は「知らなかった」と弁解したが、芸能界を追放された。
世間は、芸能界より野球界の方がコンプライアンス意識もモラルも低いと感じたと思われるが、それでいいのか。

巨人や他球団も、良識があるのなら、高木京介との契約は見送ると思う。「まだ野球界の浄化は道半ばであり、時期尚早」という判断をすると思う。
「1年間謹慎した選手にもう罪はない」と言うかもしれないが、そういう選手を生み出した土壌を作り、根本治癒をしていない野球界は、彼を弁護する資格はない。当事者であり、そういう事態を引き起こした責任があるのだから。

NPBや各球団は高木京介の復帰を「あの問題は終わりました。禊は済みました」という免罪符にしようとしている。

熊崎コミッショナーは、法曹界出身だが、なぜ野球協約に「不法賭博の禁止」の条項を盛り込まないのか。過去はさておき、今後の野球人の反社会行為を根絶させるためにも、絶対にそうすべきだと思うが、昨年から意識が戻っていないのか。WBCの東京ドームでちらっと姿があったが、あれは影武者か。夢遊病者か。

メディアも「もう済んだこと」にしようとしている。
籠池劇場は大変面白い。もっとやってほしいと思うが、昨年の同時期、籠池事件なみに世間を揺るがした野球界の大事件は、まだ解決していない。
ジャーナリストに記憶力があるのなた、そのことをしっかり指摘すべきではないのか。
新聞記者にはとっくに期待していないが、筋くらい通してはどうか。

そういうことはせずに、高木京介が復帰してからいろいろ詮索したり、不当に評価をするとしたら、その記者はジャーナリストではない。



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