年がら年中野球の話をしているわけだが、意外に知らないことがたくさんある。用具のこともその一つだ。
■グラブマスター、酒井真矢さんに徹底取材
昨年12月、私は奈良県三宅町のグラブ工房を訪ねた。
この工房には、4年ほど前に長谷川晶一さんと一緒に話を聞きに行ったことがあった。
グラブ職人の酒井真矢さんから、興味深い話をいろいろ聞いた。それ以来、FB仲間であり、いつかお目にかかりたいと思っていた。
昨年末にようやく実現し、グラブづくりのいろいろについて話を聞くことができた。
日ごろ野球になじんでいる読者各位にとっても、初めて聞く驚きの事実が次々と出てくるはずだ。これをじっくり紹介したい。
2階建ての古い建物には、様々な色に染められたおびただしい数の牛革が積み上げられている。その周りには様々な機械、工具も並んでいる。しかしオートメーションのようなものではない。一つ一つの工程は、すべて手作業。
酒井さんは38歳。グラブ製作会社の工場長。職人歴20年目。まさに働き盛りだ。
■グラブ職人とは何だ?
まず、グラブ職人とはどんな仕事なのか?
文字通り、グラブを作る職人ではあるが、私たちは、職人からグラブを購入することはない。グラブ職人は、スポーツ用品メーカーと契約して、そのブランドのグラブを作っているのだ。
「私もある大手メーカーのグラブを委託されて作っています。特注品が多いですが、うちの工房では一般の商品も作っています」
我々は、プロが使うような高級なグラブは職人の手作りだろうが、安い一般の商品は工業品だと思っている。しかしそうではないのだ。
「硬式だけでなく軟式のグラブも、安いものでもグラブは全部手作りです。素材や加工の工程は安いものと高いものでは異なりますが、作り方の基本は一緒です。ただ安いものは、日本の職人では作ることができません。人件費の安いインドネシア、中国、フィリピン、ベトナムなど海外で作っています」
酒井さんは中国にグラブづくりの技術指導をしに行っている。
「むこうの職人も熱心ですが、やっぱり出来は日本のものほどではない。どこか形がよくなかったりします。やはり野球を知らない人が作っているからではないかなと思います」
■縮小するグラブ業界
酒井さんは、大手スポーツ用品メーカーの契約でグラブを作っているが、それ以外にオリジナルのブランドでもグラブを作っている。そこには業界の事情がある。
「グラブの生産量は2006年10月に急速に落ちこみました。BSE(狂牛病)の影響で、牛革がアメリカから入ってこなくなり、値段も高騰しました。
また、グラブの売上そのものも落ちてきています。だから我々が作るグラブの個数もずいぶん減りました。今、うちは6人ですが、20年前は8~9人で仕事量は4~5倍はありました。
先輩の職人には、グラブづくりの名人としてマスコミに取り上げられた人がいますが、そういう人でも製造をやめた人もいます。
うちも、メーカーの注文だけではやっていけないので、自分のブランドでも作らせてほしいと交渉して、メーカーと、プライベートの二つのブランドで作るようになったんです」
「野球離れ」の影響は、こういうところにも表れている。
酒井さんのブランド名は「クラフターマインド」。
今後、グラブづくりの工程を逐一紹介していく。
年度別チーム第1号本塁打は俺だ! 南海~ソフトバンク編
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!
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好評発売中!
昨年12月、私は奈良県三宅町のグラブ工房を訪ねた。
この工房には、4年ほど前に長谷川晶一さんと一緒に話を聞きに行ったことがあった。
グラブ職人の酒井真矢さんから、興味深い話をいろいろ聞いた。それ以来、FB仲間であり、いつかお目にかかりたいと思っていた。
昨年末にようやく実現し、グラブづくりのいろいろについて話を聞くことができた。
日ごろ野球になじんでいる読者各位にとっても、初めて聞く驚きの事実が次々と出てくるはずだ。これをじっくり紹介したい。
2階建ての古い建物には、様々な色に染められたおびただしい数の牛革が積み上げられている。その周りには様々な機械、工具も並んでいる。しかしオートメーションのようなものではない。一つ一つの工程は、すべて手作業。
酒井さんは38歳。グラブ製作会社の工場長。職人歴20年目。まさに働き盛りだ。
■グラブ職人とは何だ?
まず、グラブ職人とはどんな仕事なのか?
文字通り、グラブを作る職人ではあるが、私たちは、職人からグラブを購入することはない。グラブ職人は、スポーツ用品メーカーと契約して、そのブランドのグラブを作っているのだ。
「私もある大手メーカーのグラブを委託されて作っています。特注品が多いですが、うちの工房では一般の商品も作っています」
我々は、プロが使うような高級なグラブは職人の手作りだろうが、安い一般の商品は工業品だと思っている。しかしそうではないのだ。
「硬式だけでなく軟式のグラブも、安いものでもグラブは全部手作りです。素材や加工の工程は安いものと高いものでは異なりますが、作り方の基本は一緒です。ただ安いものは、日本の職人では作ることができません。人件費の安いインドネシア、中国、フィリピン、ベトナムなど海外で作っています」
酒井さんは中国にグラブづくりの技術指導をしに行っている。
「むこうの職人も熱心ですが、やっぱり出来は日本のものほどではない。どこか形がよくなかったりします。やはり野球を知らない人が作っているからではないかなと思います」
■縮小するグラブ業界
酒井さんは、大手スポーツ用品メーカーの契約でグラブを作っているが、それ以外にオリジナルのブランドでもグラブを作っている。そこには業界の事情がある。
「グラブの生産量は2006年10月に急速に落ちこみました。BSE(狂牛病)の影響で、牛革がアメリカから入ってこなくなり、値段も高騰しました。
また、グラブの売上そのものも落ちてきています。だから我々が作るグラブの個数もずいぶん減りました。今、うちは6人ですが、20年前は8~9人で仕事量は4~5倍はありました。
先輩の職人には、グラブづくりの名人としてマスコミに取り上げられた人がいますが、そういう人でも製造をやめた人もいます。
うちも、メーカーの注文だけではやっていけないので、自分のブランドでも作らせてほしいと交渉して、メーカーと、プライベートの二つのブランドで作るようになったんです」
「野球離れ」の影響は、こういうところにも表れている。
酒井さんのブランド名は「クラフターマインド」。
今後、グラブづくりの工程を逐一紹介していく。
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バット職人のことは存じ上げていましたが、グラブ職人のことは全く知りませんでした。プロ野球選手の活躍の裏でひたむきに努力される職人の方々には頭が下がります。
続きの記事も楽しみにしています!