いうだろうな、と思ったらやっぱり「サンデーモーニング」で張本勲が川﨑宗則にかみついた。
スポニチ
「遅いよ、帰ってくるのが。2、3年早く帰ってこないと」
「35歳で帰ってきても守るところがない」
「話題で、人気者だから獲ったんでしょうがね」
黒縁メガネ姿に「格好はいいじゃないですか。昔、漫才師の横山エンタツという人がいたんですが」

最後の発言は、近代漫才の祖ともいえる偉大な芸人に対して失礼だとは思うが、それはともかく、川﨑宗則は、帰ってくるのが遅すぎて、戦力ではなく、話題性だけの「芸人枠」になったと言っているのだ。

これは2つの意味で、間違っていると思う。
1つ目は、川﨑宗則の5シーズンにわたるMLB挑戦を、無価値だとしている点。
川﨑はMLBでは通算1本塁打。非力だったために、定着することはできなかった。マイナーとMLBを往復してアメリカでのキャリアを終えた。
野球選手はレギュラーで活躍してこそ、という考え方からすればその通りだが、川﨑はNPBでの野球に飽き足らず、そしてイチローへの思慕の念からMLBに渡った。
そして身をもってアメリカと日本の野球、野球文化の差を我々に示してくれた。
川﨑自身にとっても、いろいろなチームでプレーすることは、知見を広める意味でも有意義だったと思う。
はた目からは「日本では、億の金をもらえる選手が、なんでマイナーでプレーしているのか」と思っただろうが、彼自身には意味があった。
そして彼がなぜこんな選択をしたか、を考えるときに日本の野球界の問題や限界が見えてくる。

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2つ目は、今の川﨑宗則がソフトバンク・ホークスでは、にぎやかしに過ぎないと断じている点。
川﨑は、ベンチで陽気に騒いでいただけではない。MLBの内野手とプレーし、遊撃だけでなく他のポジションも守り、さらにはマイナーでも守備に就き、MLBの内野手がどんなプレーをしているか。どういう点がNPBと大きく異なっているかを具体的かつ実践的に学んだはずだ。
それをNPBの野手に身をもって伝えることは、大いに意義がある。ソフトバンクも、そういう意味もあって9000万円+出来高で契約したのだ。

彼はアメリカで遊んでいたわけではない。日本では得られない経験をした。スター選手のプライドを捨てたからこそ得たものも多かったと思う。

張本勲らじじいは「日本野球が一番、アメリカは基本がなっていない」「アメリカに行くやつは裏切者」と思っている。こうした猿山のボス猿のような頑迷さが、日本野球を井の中の蛙にしている。
猿か蛙かは置くとして、川﨑はこうしたじじいたちを見返すためにもめいっぱい頑張ってほしい。


開幕戦本塁打王は誰だ!(後編)

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