朝日新聞や毎日新聞が、じわじわと「甲子園改革」の論調を強め始めている。

14日の朝日新聞では、編集委員・安藤嘉浩の署名入りで
「検討進むタイブレーク、元球児としては抵抗感」という記事を載せた。

記事では夏の甲子園主催者としてはタイブレーク導入やむなしと言う立場だが「作為的に試合を動かすことに抵抗を感じ」るとしている。

またタイブレークは
①本来、投手を守る制度ではない。
②1人の投手が連投で無理をする可能性は残る。
③すでに150球投げた先発投手が走者を2人背負って投球することの過酷さ
という疑問が残るとしている。

その上で、甲子園の日程を改革し、連投をなくすることが必要だと説いている。

答えがわかり切った問題を、核心を突くことなくこねくり回していると言う印象だ。

答えは明らかなのだ。今の高校野球の予選、本戦の日程と、高校野球のチーム編成を抜本的に代えなければ、投手の酷使の問題は解決できない。そのうえでタイブレーク導入の可否を判断すべきなのだ。

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最近はずいぶん変わってきたが、今でも多くの高校が、一人のエースを中心にチーム造りをする「エースシステム」でやっている。そして高校野球の日程は、勝ち進めば「連投」が前提になる。
あたら好素材を連投でつぶしかねない仕組みが、高い完成度でできあがってしまっているのだ。

これを崩すためには、地方大会のレベルから「球数制限」「登板間隔制限」を導入するしかない。
同時に、各チームの試合日程が最低でも「中3日」開けるようにスケジュールを設計しなおすしかないのだ。そのために夏の予選が早まることになっても仕方がないだろう。

この話は何度も高校野球界で議論されているが、学校側からは
「エース級を複数作るのは無理だ」
という声が上がってくる。自分の学校が勝つことしか考えていない呆れた意見だ。無視すればよいのだが、高野連はそれができない。

日程の問題は、反対に高野連や各地の連盟が
「球場確保が難しい」ことを理由に難色を示している。これも「高校球児のため」ではなく、主催者の都合を優先したあほな意見だ。

「教育」「プレイヤーファースト」という一番大事なことが、頭に入っていないから、こういう議論になるのだ。

朝日新聞、毎日新聞は、この問題の核心をよく理解している。何をすべきかも知っている。
しかし、正面切ってそれを主張しないのは、
「今まで、高校野球を散々美化して、思い切り商売もしておきながら、手のひら返しをするのか」
「そもそも、今の高校野球をこんな風にしたのはお前らじゃないか」
と言われるのが怖いからだ。
「従軍慰安婦問題」で、朝日は世間から散々叩かれた。同様の非難を受けることを恐れているのだ。エリートのお利巧さんには本当に怖かったのだと思うが、それは甘受しなければならない。

今の甲子園、高校野球がこんな風になったことの責任は、高野連と朝日、毎日両社にある。そして、朝日、毎日は高校野球がここまで加熱し、生徒に負担をかけるに至るまで、問題解決に動かなかった「不作為の罪」もある。
まともな言論機関であるならば、自分たちの問題点をしっかり総括したうえで、堂々と「手のひら返しをやります」と宣言して、高校野球改革に着手すべきだ。

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