前回はグラブの皮革=牛革の質について紹介した。今回は裁断。
皮革の特性、品質を見極める
海外から入ってきた牛革は姫路でそれぞれ指定の色に染められる。
そしてタンナー(turnner)と呼ばれる専門業者によってグラブ用に加工され、商社を経てグラブ工房に納品される。
グラブ職人にとって、一枚の牛革からどのようにグラブのパーツを裁断するかも非常に重要な技術だ。
グラブマスター、酒井真矢さんは語る。
「1個のグラブは、およそ30のパーツから成っています。これは高いグラブも安いグラブもほとんど変わりません。皮のどの部分を使うかで、高級品、一般品が違ってきます」
我々にはただのだだっ広いシートにしか見えない皮革だが、牛の体の部位によって硬さ、軟らかさ、曲げの特性などが大きく異なるのだという。
グラブ職人は、皮を広げてじっくりと目を通す。光を当てて、すかすように見つめる。時折曲げてみて、曲がる方向性も見極める。 もちろん、表面に傷がないかもしっかりと見極める。
「素人にはわかりませんが、牛革には、軟らかい部分と固い部分があります。また伸びる方向も部位によって異なります。牛の尻の部分の皮は縦にも横にも伸びます。その部分はキャッチングポケットに使いたい。縦に伸びる部分は、指の部分に使いたい。指の部分は縫い合わせの時に伸びるほうがいい。皮は縦横引っ張って特性を確かめます。 牛革にどうタガネを入れるかで、グローブの品質や特性が変わってくるんですね」
透明の型を使って裁断位置を決めていく。
グラブの形を頭に描いて裁断する
右投げ用のグラブと、左投げ用のグラブでは、裁断の仕方が違う。右投げではつるつるした表の面(銀面)からタガネを入れる。左投げでは、裏側の面(床面)から入れる。
「床面からタガネを入れるときは、ときどき裏返して銀面を確認します。傷があるのがわからなくて、失敗したりするからです」
オーダーメイドのグラブの場合、選手によって「硬め」「やわらかめ」の好みの差もある。
そういうものも加味して皮を裁断していく。 どのように切り分けるかで、1枚の皮の裁断効率も変わってくる。廃棄する部分が少ない方が良いのは言うまでもない。 グラブ職人は、出来上がりのグラブの形を頭に描いて、皮を裁断するのだ。
金型はグラブ屋の財産
「裁断」という言葉を用いたが、実際にはハサミで切っていくのではなく、あらかじめ作られた金型を押し当て、プレス機で抜いていく。
グラブ工房にはさまざまな選手に合わせた金型が置いてある。指の部分などを微調整できるようになったものも多い。 この金型も1個数万円以上する。一つ一つ金型業者に発注する。
有名選手はオリジナルで作るが、1個ではとても採算が取れない。年に数個以上、しかも複数年作ることが前提になる。
この工房では、プロ選手の特注品は、酒井真矢さんが裁断するが、一般品は、他の職人が裁断する。 皮も、裁断の金型も当然違ってくる。こうした素材や工程の細かな差が値段に反映されていく。 まず皮を見極め、裁断する段階で「職人の技」が試されるのだ。
1976年東尾修、全登板成績【チームはどん底ながら、連続2ケタ勝利】
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グラブ職人は、皮を広げてじっくりと目を通す。光を当てて、すかすように見つめる。時折曲げてみて、曲がる方向性も見極める。 もちろん、表面に傷がないかもしっかりと見極める。
「素人にはわかりませんが、牛革には、軟らかい部分と固い部分があります。また伸びる方向も部位によって異なります。牛の尻の部分の皮は縦にも横にも伸びます。その部分はキャッチングポケットに使いたい。縦に伸びる部分は、指の部分に使いたい。指の部分は縫い合わせの時に伸びるほうがいい。皮は縦横引っ張って特性を確かめます。 牛革にどうタガネを入れるかで、グローブの品質や特性が変わってくるんですね」
透明の型を使って裁断位置を決めていく。
グラブの形を頭に描いて裁断する
右投げ用のグラブと、左投げ用のグラブでは、裁断の仕方が違う。右投げではつるつるした表の面(銀面)からタガネを入れる。左投げでは、裏側の面(床面)から入れる。
「床面からタガネを入れるときは、ときどき裏返して銀面を確認します。傷があるのがわからなくて、失敗したりするからです」
オーダーメイドのグラブの場合、選手によって「硬め」「やわらかめ」の好みの差もある。
そういうものも加味して皮を裁断していく。 どのように切り分けるかで、1枚の皮の裁断効率も変わってくる。廃棄する部分が少ない方が良いのは言うまでもない。 グラブ職人は、出来上がりのグラブの形を頭に描いて、皮を裁断するのだ。
金型はグラブ屋の財産
「裁断」という言葉を用いたが、実際にはハサミで切っていくのではなく、あらかじめ作られた金型を押し当て、プレス機で抜いていく。
グラブ工房にはさまざまな選手に合わせた金型が置いてある。指の部分などを微調整できるようになったものも多い。 この金型も1個数万円以上する。一つ一つ金型業者に発注する。
有名選手はオリジナルで作るが、1個ではとても採算が取れない。年に数個以上、しかも複数年作ることが前提になる。
この工房では、プロ選手の特注品は、酒井真矢さんが裁断するが、一般品は、他の職人が裁断する。 皮も、裁断の金型も当然違ってくる。こうした素材や工程の細かな差が値段に反映されていく。 まず皮を見極め、裁断する段階で「職人の技」が試されるのだ。
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いま考えればさして裕福でもない親がよく買い与えてくれたものです
そして我が子が野球をやるとなった場合、野球をやる費用に二の足を踏んでしまいます