野球に詳しい読者とも思えないし、何らかの腹いせでつまらないコメントをしているのだと思うが、はっきりさせておきたいことがあるので反論しておきたい。
ダルビッシュの発言はこうである。

スポニチ

「(日本とは)野球が競技として違うぐらい(レベルの)差がある。日本に来て通用している外国人選手は実際は3Aにもいないし、2Aレベルぐらい。差が凄くありますね」

2012年4月9日の初登板で、5回2/3を8安打5失点でマウンドを降りた後の発言だ。

2011年、ダルビッシュはNPBで空前の投球をした。無敵の存在だった。自信満々でMLBに渡り、最初のマウンドで完膚なきまでに打ちのめされ、こういう発言をしたのだ。
日本の外国人選手と同じような雰囲気、同じような構えのように見えたMLB選手の打力が全く異なっていることを実感しショックを受けたのだろう。

なかでもダルはミゲル・カブレラの手ごわさに舌を巻き、恐れをなしたが、のちには彼との勝負を楽しむようになる。

しかしダルはNPBの打者が2Aレベルだと言ったわけではない。
昔はNPBの打撃部門を外国人選手が独占するなど、日本にくる二流外国人は日米の野球格差を利用して荒稼ぎをした。
しかし21世紀のNPBでは、外国人打者より優秀な日本人はたくさんいる。朝も出したように、2016年のNPBの打撃10傑に外国人選手は一人も入っていない。NPBの外国人選手は日本人選手より優秀とは言えない。
ダルの発言は、日本人選手全体を際していったのではないと思われる。
事実、数は少ないがMLBで通用した選手もいるのだ。
何か嫌なことがあったのかもしれないが、吐き捨てるように「NPBのレベルが低い」と言うのは失礼だと思う。

もうひとつ。AAについて。このコメントをした人は良くわかっていないと思う。
AAAは、MLBのメジャー契約40人枠のうち、25人から漏れた残りの15人がリザーブ的にプレーしている。選手の多くはMLB経験者であり、実力的にもMLBと大差はない。

そしてAAもAAAと実力的に大差はない。トッププロスペクトの中にはAAAを飛び越してMLBに昇格する例が散見されるが、AAで通用する選手の多くは、MLBでもそこそこやれるのだ。

NPBの選手がAA級だというのは、MLBより「少し落ちる」というニュアンスであり「箸にも棒にもかからない」という意味にはならない。
本当に箸にも棒にもかからない選手は、AAまで上がってこない。

実際にはNPBからMLBに挑戦した選手で、AAでプレーした例は極めて少ない。15人の選手のマイナーの記録を出す。

NPB-MLB-Minor


試合数が少ないうえに多くが調整での出場のため、何とも言えないが、AAA、AAで通用しなかった選手はいない。松井秀喜は引退年の最終のSTATSなので除外すべきだ。

MLBとAAA、AAAとAAの差はそれほど大きくない。おそらく大きいのは、MLBにおける長期契約を結ぶようなスター選手と、毎年オフにFAになるようなそれ以外の普通の選手の格差だろう。
NPB出身野手は「なみのMLB選手」には引けを取らないが、大型契約をするほどの魅力はない。その上に年を食っている。また長打力がないために、評価が低いのだ。

NPBをAAAAと評する人がいるが、妥当なところではないかと思う。

より踏み込んでいえば、私はそうした「上か下か」みたいな垂直の論議ではなく、日米の野球観の違いに根差した深い議論をしたいと思っている。

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