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個々からグラブづくりは、非常に高度な技術を要する工程になる。
■スライス、焼き印

牛革は、グラブ職人の経験、知識、技術によって、裁断され、グラブのパーツになる。
しかし、そのままではグラブを作ることはできない。牛革は厚すぎるのだ。
そこで、パーツごとにバンドマシーンと言う機械で、所定の厚みになるようにスライスする。

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(スライスして削った皮)

これも微妙な感覚が求められる。 各パーツは厚みを削られるが、圧力をかけられるわけではないので、大きさは裁断した時のままだ。

そして、グラブの捕球面には焼き印を押して、縫製の工程にまわす。


■高い技術が求められる縫製

グラブには糊付けされた部分はほとんどない。
ほぼすべてが糸によって縫製されてできている。 グラブの皮と皮を縫い合わせるときには、間に「はみだし」という細い革製のパーツを挟んで、その部分を縫い合わせる。

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各指の間にはば5㎜の「はみだし」を挟んで、ミシンで縫い合わせていくのだ。
まっすぐ、よじれることなくミシンの目を入れていくには高度な技術が必要だ。
ミシンは皮を通すことができる特別の工業用ミシンを使う。

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グラブマスター、酒井真矢さんは語る。

「ミットには『はみだし』を使わないんです。皮のパーツ同士を直接縫い合わせます。前も言った通り、グラブ職人とミット職人は別の仕事です。ミット職人がグラブを作ることも、その反対も、これまではほとんどありませんでした。 それは『はみだし』の有無など、細かな材料が違い、技術や道具も違っていたからなんですね」

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こういう話、感動しないだろうか?グラブ職人とミット職人が”違う世界”だったとは。野球ファンでもこのことを知る人は少ないだろう。
三塁手がコンバートされて一塁手になるのはよくあるが、そのときに相手にする職人も変わってくるのだ。

■平面を局面に仕上げていく”まとめ”

指の部分の縫製を終えると、指カバーを縫い付ける。

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そして捕球面と背面をつなぐ。

「これを”まとめ”というのですが、これがグラブづくりで一番難しい工程です。指よりも細い『はみだし』を使って、少しずつ縫い合わせていきます。いわば平面を立体にしていく工程です。この工程の腕の良しあしで、グラブ品質が変わってきます」

酒井さんは”まとめ”も、実に無造作にこなしていく。簡単そうに見えるが、不器用な私にはトライしようという気さえ起らない。

“まとめ”が終わると、グラブを裏向きにひっくり返して内部を縫製する。ひっくり返す機器は、自分で作ったものだ。

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このとき、手のひらに当たるパーツも縫い合わせていく。 どんなパーツが、完成したグラブのどの部分になるか、完全に頭に入っていないとできない作業だ。

「『まとめ』の工程ではグラブのパーツにあいている穴の位置も合わせなければなりません。それに表と裏をうまく合わせないと、ぼこぼこになってしまう。この工程ができて、グラブ職人も一人前ですね」



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