マニー・ラミレスが出演するというので見たが、マニーはともかく、番組のひどさに愕然とした。何も伝わらなかった。
高知にずっといたマニーを東京に招待し、ハマスタでNPBを観戦させ、スタジオで話を聞いたわけだ。
アンドリュー・ジョーンズでもここまでの注目度はなかった。
台湾や高知までラミーを追いかけた私には喜ばしい限りだと思った。高知の北古味潤副社長の姿もあったので、球団が承認してマニーを東京に派遣したのだろう。

しかし、フジテレビにはマニー・ラミレスの人柄は愚か、彼が日本でプレーしていることの意味なども、ほとんど伝えることができなかった。

まず、マニー・ラミレスとはどんな選手なのかをきっちり抑えなかった。マニーはただの外国人選手ではなく、21世紀最初の10年、A-RODなどと肩を並べる最強打者で、もはやレジェンドであることをちゃんと説明しなかった。
視聴者の中には「中年の元野球選手が高知で遊んでいる」風にしかとられなかったのではないか。
この軽い扱いによって、「マニーが番組に来ている意味」が希薄になった。

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マニーへの質問は最低と言ってよかった。筒香や山田哲人、挙句の果てには清宮幸太郎の映像を見せて「どうか?MLBで通用するか」とあほの一つ覚えみたいに聞くのだ。
マニーは当然、「素晴らしい選手だ」としか言わない。共演していたJの川渕三郎ファウンダーは、なぜか高知ファイティングドッグスのユニフォームを着ていたが、マニーが外交辞令でそう言っていると指摘していた。

マニーは土曜日、ハマスタの貴賓室からDeNA-広島戦を見たが、マニーが応援などに喜んでいる映像を映すだけで、試合のどこに注目したかなどはほとんどわからなかった。佐野瑞樹アナとのゆるいからみがあっただけだ。
マニーが出ている映像が流れている間、ワイプでマニーの表情を抜いていたのも訳が分からなかった。何を期待して彼の表情を追いかけていたのか。

さらにアレックス・ラミレスとの対談もあった。この二人は出身国が違うが、インディアンスで少しだけチームメイトだったことがある。しかしアレックスとラミーでは天と地ほどの身分さがあった。
そういうこともきっちり紹介することなく「友人」と説明し、表面的な話を聞いただけだ。
せっかく貴重な時間を設定しながら、何の印象も残らなかった。

要するにフジテレビは「スポーツなんて面白くない」し「マニーに興味のある人は変わり者だけ」だから、マニーをネタに刹那的なバラエティを捏造しただけなのだ。

この番組を見て、マニー・ラミレスやその置かれた境遇、何をしたがっているのかがわかった人はいないのではないか。
マニーにも失礼だし、視聴者にもほとんど残らない、かすみたいなバラエティだった。

この番組は土日だけしかやっていないが、「プロ野球ニュース」の流れを汲んでいる。野球ファンを拡大し、巨人だけではないプロ野球の魅力を全国に広げた伝説的な番組のDNAは、HERO'Sにはほとんど感じられなかった。ショックを受けた。
ばたばたとあわただしくて、少しも情報が入ってこない。技術的にも劣化しているのだろう。
他局のスポーツ番組と比べてもはるかに見劣りする。

フジテレビは、すでに「負のブランド」になりつつある。どうせフジだから面白いはずはない、という認識が定着している。
しかし、アナウンサーも局も「みんな、私たちみたいになりたいんでしょ?」という勘違い光線をいまだに発している。自分たちが大好きで仕方がない彼らにとって、取材対象は「ネタ」でしかない。リスペクトもなければ深く知りたいとも思わない。

マニーの東京滞在が有意義であれば良かったと思うが、フジテレビはスポーツ番組はもうやめた方がいいのではないだろうか。




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