サンケイ新聞は、いったい誰が読んでいるのかと思うほど部数が少ない。全国紙ではあるが発行部数は160万部。ブロック紙の中日新聞、東京新聞の半分ほどだ。

独自色を出すためか、この新聞は安倍政権べったりの記事を書いている。森友学園の問題でも、そっちの真相究明ではなく、追及する民進党の攻撃や、森友一族のあらさがしをしている。

そして、日本の嫌韓ムードに油を注ぐような記事もお得意だ。
私はサンケイのコラム「ソウルからよぼせよ」を愛読している。サンケイ新聞ソウル特派員による韓国の批評は、現地に身を置いている立場ならではのリアルさがあるし、日韓の文化や価値観の違いを知る上で有意義だとは思う。
しかしそれ以外の「嫌韓記事」の中にはひどいものも多い。
これなどその典型だ。

韓国野球がどうしても乗り越えたい「イチロー」の壁

金泰均の連続出塁記録がイチローに迫ろうとしていて、韓国で話題になっているという。
「本塁打数やピッチャーの通算勝ち星ならいざ知らず、連続出塁記録を日韓で比べてどうする」と批評しているが、これ、よくわからない。

「森羅万象すべてで「日本越え」を果たそうと韓国がみせる執念はもはや宿痾ともいえる」は、サンケイの嫌韓記事の常とう句だが、韓国のスポーツメディアは、そういう感覚で金の記録をもてはやしているのだという。

金泰均は千葉ロッテに2年だけ在籍し、1年目は活躍した。韓国屈指の強打者であり、気迫を前面に出す、ファイターだ。

すでにベテランの域に達しているが、まだ韓国では恐れられている。その金が、イチローの連続出塁記録に迫っているのだ。

確かにその数字で金がイチローを抜いたからと言って、どうだ、とは思う。
リーグが違い、対戦相手や試合の環境も違うのだから、記録を比較するのはナンセンスだ。記者はそこに韓国人のコンプレックスを見ているのだろうが、だったら、日本メディアのアメリカコンプレックスはどうなのか、ということになろう。

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王貞治のハンク・アーロン超えあたりを嚆矢として、日本のスポーツメディアはNPBでの記録がたまたまMLBの記録に肩を並べ、超えたからと言って空騒ぎをたくさんしてきた。

福本豊の盗塁記録、衣笠祥雄の連続出塁記録、極めつけはもちろんイチローの安打記録だ。
イチローはMLBの記録だけで十分に殿堂入りに値する名選手だが、日本のメディアは、そこにNPBの記録を混入させて「MLBの記録を抜いた」と騒いできたのだ。

日本のアメリカに対するコンプレックスがもろに出ていてみっともないと思う。

背伸びをして、国力が上の国に並んだと言いたいメンタリティは、共通のものなのだと思う。
日本が、ことあるごとに「アメリカに並んだ」と言いたがるのと全く同じ動機で韓国は「日本に並んだ」と言っているのだ。
そこに民族性や特段のコンプレックスを見るのは偏見の類だ。
どっちにしても「日米通算」と同様、まじめに論じる必要もない「お遊び」の数字だ。

サンケイ新聞は、韓国、中国に対する日本人の差別感情を助長する言論を展開している。ヘイトスピーチやネトウヨが横行する一因を作っていると思う。
韓国を叩くと部数が増えるのかもしれないが、こんな記事を書いていては一流新聞に肩を並べるのは夢のまた夢だろう。

この記事には(下)があるようだが、とりあえずここまでの内容について批判しておく。
(下)で異なる展開になるようなら、また取り上げる。


1980~81年江本孟紀、全登板成績【ベンチがアホやから野球ができへん】

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