一昨日、高知の記者席には、夜の試合を控えた香川の西田真二監督が座っていた。

NPBの記者室とは違い、数人しか人はいない。
端っこの方に座った西田さんは、プレーのたびにいろいろ感想を口に出す。記者たちはスコアをつけているが、聞くとはなしに、聞いてしまう。

「あのアンダーソン(高知)という一塁手、守備は上手いのや。うちもいくつ安打をアウトにされたか。打つ方は少しもの足らんけど、守備は一流、NPBのスカウトもそういうとる」

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元メジャーリーガーのアンダーソンはこの日、大きな一発を打った。

「正田(樹 愛媛)は、クイックで投げたり、タイミングずらしたり、いろいろやってる。球は遅くなったが、うまいこと投げている。それができるのも、今まで(NPBで)やってきたという自信があるのや」

「でも打たれる、それも含めて野球や」

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「え、あれがストライク?外れてるやろ。あれストライク言われたらたまらんな、ま、それも含めて野球や」

「え?あれでスイングとるの?ストライク?あの審判どないなってるねん。バッターやってられんな。ま、それも含めて野球やけどな」

「それも含めて野球や」を連発する。言葉が繰り返されるたびに、記者氏もくすっと笑う。

この言葉、いいなと思った。

野球というスポーツは、複雑だ。いろんなプレーが起こる。それにともなってさまざまなジャッジも生じる。
人間のやることだから、おかしなプレーやジャッジも必ず発生する。それをどう考えるか?いちいち目くじらを立てるのか?それとも西田さんのように「それも含めて野球や」と思うのか。

56歳になる西田監督は、四国アイランドリーグplusの監督を務めて12年になる。スタート時からずっとこのリーグを見つめてきた。
今もバッティング投手を買って出るし、精力的に動き回っている。
このリーグ、選手たちへの愛着は一方ならぬものがあるのだろう。
以前話を聞いたときには「高校野球の延長や」と言っていたが、PL学園時代甲子園の優勝投手になった西田さんが言えば、この言葉も重みがある。
技量的にまずい審判に対しても、西田さんは優しい。「それも含めて野球や」という言葉でやんわりと包んでしまうのだ。

独立リーグは、野球への妄執が捨てられない人たちが集まる場所だ。ここからステップアップする人も少数ながらいるが、ここで野球のキャリアを終える人も多い。マニー・ラミレスも例外ではない。
西田さんは、そういうドラマを数えきれないほど見つめてきたのだ。
いろんなドラマのあれこれは「それも含めて野球や」という短いフレーズに収れんされるのだろう。

鳥谷敬、阪神の記録への偏執を「それも含めて野球や」と言い切ることができない私は、まだ未熟なのかもしれない。

「アメリカのマイナーリーグでは、機械によるストライクボールの判定を始めるようやけど、それがええのかどうか。ま、それも含めて野球やけどな」

西田さんは、そう言い残して記者室を出ていった。

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1977年安田猛、全登板成績【チーム初の2位に自己最多の17勝】

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