宮里藍という選手は、ここ5年程ほとんど活躍していなかった。賞金も少なく、全く振るわなかった。
プロ野球なら戦力外というところだが、過去の功績もあって、宮里は「食っていける」と思われた。
しかし、彼女は引退を表明した。シニアまで現役を続けることができるゴルフの世界では珍しいことだ。
彼女は女子ゴルフブームの立役者であり、その地位を引き上げた功労者だ。その宮里が、なぜ31歳という若さで引退するに至ったのか。「引退」というプロゴルファーとしては特別な身の処し方をしたのか。宮里自身の能力が衰えたのか。彼女自身の言うように「モチベーション」の問題なのか。あるいは世界、日本の女子ゴルフ界が変化したのか。

いつものことだが、その疑問にちゃんと答えてくれるメディアはなかった。ゴルフ専門誌を買うしかないのだろう。
まだ日曜の例の番組で、張本勲が「結婚するんじゃないの」といったのが、一つの手がかりを与えてくれたという点で貴重だった。

メディアは記者会見で、宮里に砲列を向けたが、何を必死に追いかけていたかと言えば「涙」だった。浅田真央の時もそうだったが、会見の最後に、感極まって見せる一瞬の泣き顔のために、プレスパスを持った大の大人が何十人もよってかたって、シャッターを切っていたのだ。

NHKから民放まで、地上波キー局も、関西ローカル局も、みんな宮里藍の泣き顔を放映していた。新聞だってそうだろう。

アスリートは、「自己陶酔型」の人が多いとは思う。しかし、敵に本音を見せては勝てない。ピンチでも平然とし、勝っても大喜びしないような選手が実績を残すと思う。
例え、引退の時といえども、公衆の面前で涙を見せることを潔しとはしないのではないか。それでも感極まってこうなる。

それは感動的ではあろうが、今のメディアは「それだけ」なのだ。
宮里の偉大さも、彼女のおかれた境遇の特殊さも、それゆえの辛さも、何も深堀しない。短い時間でも、そうした情報を加えることはできると思うが「藍ちゃんびっくりしましたね、残念ですね」以外のことは一切伝えないのだ。

スポーツや、アスリートに対するリスペクトがあれば、「その人だけにおくる言葉」を添えることくらいしてもよいと思うが、一切それはない。あたかも他人事のようだ。

宮里藍も浅田真央もおんなじ。「引退=涙」というステレオタイプを報道して、はいおしまい。

テレビや新聞というメディアは、いつから「流れ作業」の「ルーティンワーク」になったのかと思う。
「血が通っていない」そして「何も伝えていない」

もともと大きな期待はしていないが、今のメディアは、本当に「しょーむない」と思う。
スポーツならまだしも、その「しょーむない」メディアに、政治や外交などの報道を任せておいていいのか、と真剣に思う。

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