今日の高安の大関推挙を、メディアはまるでものすごいことのように取り上げていた。
私は清国が大関になるくらいから覚えているが、昔は横綱推挙はともかく、大関昇進をテレビで大々的に取り上げるなんてなかった。

昭和の時代、大相撲は閑古鳥が泣いている時代が結構あった。大鵬が引退して北玉時代と言われた矢先に玉の海が死んだ1972年ころは、ぱらぱらとお客さんがいる程度だったこともある。

貴乃花、輪島の時代は人気があったが、今のようなことはなかった。

若貴くらいから大関昇進が派手に取り上げられるようになったのではないか。

しかし若貴が引退し、モンゴルなど外国人力士が強くなるとともに、相撲人気は下降気味となる。

決定的だったのは2010年の「八百長事件」だ。これはひどい騒動になった。

前代未聞の客を入れない「技量審査場所」などを経て、大相撲の人気は地に落ちた。

私はずっと年に一二度は本場所を見に行くようにしているが、このころは当日の夕方でも桟敷席が半ば空いていた。
九州場所などは3割の入りだったこともある。ひどい時代が続いた。1000人近くいた力士数も3割以上減って、相撲は終わりかな、と思ったのだが、わずか数年でV字回復した。

これはすごいことだと思う。

日本相撲協会は力士上りが運営している。中卒の親方も多い。経営の才覚もなさそうだし、鈍重で変化に対応できそうもない印象だが、実際にはNPBなどよりはるかに優秀だ。

今の両国国技館は栃錦の春日野の時代に、無借金で建てたものだ。今も700人以上の力士や親方などを抱えて健全経営を続けている。

危機に際しても、現実を直視し、打つべき手を的確に打っているのだ。
そこで自分の利益を主張するような愚かな幹部はいなかったのだ。

相撲界は、外部の専門家を使うのがうまい。横綱審議委員会などもそうだが、経営や広報などのスペシャリストを招へいし、大胆な改革も躊躇せず行うのだ。

見た目は野球選手より古風だが、大相撲ははるかに聡明で、近代的なのだ。

いつまでたっても猿山から降りることができないボス猿たちは、日本相撲協会にでしいりしてはどうか。

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1977年安田猛、全登板成績【チーム初の2位に自己最多の17勝】

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