昨日、説明したように私は、日本の野球ファンの大部分は「野球ごっこ、野球遊び」出身者ではないかと思っている。
今の野球ファンを、ヘビーからライトに並べるとこうなると思われる。

1.大学野球経験者
2.高校野球経験者
3.中学野球経験者
4.少年野球経験者
5.草野球経験者
6.野球遊び経験者

1,2は硬球を使って本格的な野球をしたことがある人たちだ。野球ファンであるとともに、競技者でもある。野球が世渡りの道具になっている人も多い。学生野球連盟、高野連の傘下で野球をした人だ。今の数字でいうと合わせて20万人くらいだ。この数字は減っていない。大学は増えている。
「礼儀」「挨拶」「上下関係」「練習」などを大事にする飛田穂洲の「野球道」を信奉している。

3.4.は、軟球で野球をやったことがある人。スポーツ少年団や中体協で野球をした人たち。かつては、50万人以上いたが、今は30万人を割り込んでいる。
彼らは硬式野球にくらべてはるかに緩い環境で野球をしたが、それでも指導の基本は「野球道」だ。野球経験のある大人が指導しているからだ。
同じ世代にリトルリーグ、リトルシニア、ボーイズなど硬式野球をする層もいるが、大部分は1,2の大学、高校野球経験者と重なっている。全国で7万人程度だ。
1から4までは、競技経験がある野球ファンだ。今では、全部合わせて50万人程度だろう。

5,6は、正規の「野球教育」を受けていない層だ。大人の指導者はいない。
5は、ユニフォームも揃っているかいないかで、放課後のグランドや空き地などで野球をしていた層。ただしグラブをはめて軟球で野球をしていた。「どらえもん」など昭和の漫画で出てくるような感じだ。
6は、野球の道具さえそろえずに、テニスボールやおもちゃのボールを、棒きれで打っていた子供たちだ。

5,6の実数はわからないが、昭和の時代には小1から高3までの男子700万人の半数以上はその経験者だったのではないか。仮に半分の350万人としても、本格的な競技経験のある層の7倍に達する。

彼らは、「野球道」とは無縁だ。厳しい上下関係や、ハードな練習とは無縁。テレビて見た野球選手のフォームをまねたり、実況放送の真似をしたりしながら、夢中で遊んでいた層だ。「野球雲」にも書いたが、こうした「野球遊び」に興じるファンは、戦後、進駐軍によってもたらされた「新しい野球」の系譜に連なるのだろう。
サッカー大国のストリートサッカーに近いような底辺が存在したのだと思う。

もちろん、1から6までの経験が重なっている人もたくさんいる。きちっと切り分けることができるわけではない。

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ナショナルパスタイムとして、戦後の日本で圧倒的な人気を博した「野球」を支えたのは、実に5,6の野球ファンだったのだ。

サッカーや他のスポーツには、こうした分厚い「遊び層」はいなかった。これが、野球の最大の強みだったはずだ。

5,6の層は、おそらく日本ではほぼ絶滅したと思われる。ごく少数の子供が今も野球遊びをしているが、それは全盛時の100分の一程度ではないか。

最大の原因は、地上波テレビでプロ野球中継をやらなくなったことだろう。NPBの本拠地ではローカル放送があるが、他の地域ではほとんどなくなった。
「子どもが野球中継を見る」という習慣が絶えているのだ。

さらに、公園での野球など球技が中止されて久しい。空き地での野球遊びも禁止。そもそも無断で立ち入ることができる空き地はほとんどない。放課後の校庭で勝手に遊ぶことも今はできなくなっている。
子どもの体力低下が叫ばれて久しいが、「野球遊び」の絶滅もその一因だろう。

野球関係者はもとより、ほとんどの大人たちが「野球遊び」を「つまらないもの」「意味がないもの」と思い、締め出してきたことが、現状につながっている。

こういうことを知れば知るほど、私は野球の衰退を食い止めることは困難だと思っている。

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