越後の国、新潟県は私にとって特別の響きを持つ国である。2年前の著作「巨人軍の巨人 馬場正平」の取材で何度も訪れたことがあるからだが、それ以前、大河ドラマ「天と地と」の時代から、特別の感慨があった。

中村光輝の虎千代にびびっときて、石坂浩二の謙信にぐぐっとなった世代だ。上杉謙信と織田信長の幻の決戦では、謙信びいきをしたものだ。

新潟県は「頼まれりゃ、越後から米搗きに来る」と言われる信義に篤い国だ。純朴で、誠実で、誠心に満ちている。
そのことは、馬場正平の取材で十分に知っていたつもりだ。
馬場の周辺、三条市にもそういう実直な人はたくさんいた。
「正ちゃんと毎日話しているうちに、正ちゃんが体が大きいことなんて忘れてしまいましたよ」、幼馴染の人はそういった。これには参った。



独立リーグのことをまとまった形で書くにあたって、四国アイランドリーグの取材をし、各県を回ったのちに、日本独立リーグ野球機構の鍵山誠会長や、四国アイランドリーグplusの運営会社、IBLJの中村 俊洋代表の話をじっくり聞いて、そのあと、東京から新潟に向かい、BCリーグの運営会社である株式会社ジャパン・ベースボール・マーケティングの村山哲二社長に話を聞いたわけだ。

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村山さんは私財をなげうってBCリーグを存続させた。ご本人だけでなく、お兄さんまで私財をなげうってBCリーグを存続させた。
「その私財はもう、どこにもないですけどね」
さらっと村山さんは言ったが、その胆力、関西人にはまねができない。

「おんどりゃ、なんぼのもんじゃ!」
関西人は、威勢はいいが、懐勘定は細かいのである。自分が得しているのか、損しているのかを細かいレベルまでチェックする。そのうえで「足が出ている」と思えば、割とあっさり手を引いたりするのである。
関西人的には「そら、しゃーないな」という理屈になる。別に悪いことではないが、そういう人ばかりだと「ブレークスルー」は起こりえないのだ。

そう言う状況で、相手を信じて「ようがしょう!」と腹をくくって飛んでみせるのが、越後の気性なのだろう。

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村山さんのお話はそれなりにこなれている。燃える情熱はあるには違いないが、それを押し隠すすべも知っている。
五十路を超えているのだからそうであってしかるべきだが、その足元で、BCリーグのために働いている人たちは熱い。

新潟アルビレックスBCの池田拓史社長は36歳。リクルート社員だったが、BCリーグ創設を聞き、郷里のために仕事をなげうって参加した。
池田社長の言葉は「FullCount」で近々紹介するが、そのまっすぐな視線にぐっと来た。
チームのために何を言うべきか、どのような印象を与えるべきかを一生懸命に考えている。そのひたむきさに、打たれた。

都会では、一生懸命は、格好悪いことのように思われている。
それは軒を接して肩見せまく生きる都会人の処世術ではあろうが、そこからは何も生まれない。中島みゆきも言っている。
「ファイト!戦う君の唄を戦わない奴らは笑うだろう」

ブレークスルーは、日本海の荒波に接した「越の土地」から生まれるかもしれない。地酒に酔いながら、そんな予感がした。良い出張だった。



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