山口県周南市で昨年7月26日、県立高2年の男子生徒(当時17歳)が自ら命を絶った。生徒は「助っ人」として参加した野球部の練習のつらさを訴えていたほか、スマートフォンには元々の部の生徒からのいじめとみられるメッセージが残っていた。

毎日新聞が報じている。この話は「高校野球案件」なのか「いじめ案件」なのか、慎重に見極める必要があろう。
遺族によると、生徒は元々テニス部に所属していた。野球経験はなかったが、部員が少ない野球部顧問の男性教諭に「助っ人」を頼まれ、死の8日前から練習に参加し始めた。だが生徒は、初日から家族に「きつい。やめたい」とこぼし、顧問から命じられていた丸刈りも嫌がっていた。(中略)顧問からは「1日200~300回バットを振っていた」と聞かされたが、顧問は「嫌がっているとは思わなかった」と釈明したという。
 一方、テニス部の練習に出られなくなった生徒は、部員からSNSで「部室にあるお前の荷物全部池にすてる」などのメッセージを受け取っていた。


助っ人を依頼するくらいだから、強豪校ではないだろうが、練習は伝統的な過酷なものだったのだろう。
助っ人でも丸刈りにされるのは、理不尽な話だ。
冗談のつもりだったかもしれないが、テニス部の仲間がやった「いたずら」も行き過ぎたものだったのかもしれない。

学校側は遺族と十分に話し合いをしないまま調査委員会を立ち上げ、事件を収束させようとしていた。こういうときに、生徒、被害者、遺族と向き合わず、組織防衛、自己保身と思われかねない収束を図るのは、日本教育の深刻な側面ではあるが、ここではそれは触れない。

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当サイトで問いたいのは、野球経験のない生徒にどんな過酷な練習を強いたかということだ。
地方には、野球離れへの認識がない指導者はまだたくさんいる。特に公立高校の教員は選手の獲得や普及活動などはしない人も多いし、野球界の動きにも鈍感な人もいる。
「テニスみたいな遊び半分の部活しかしてない奴に、一丁野球の厳しさを教えてやろう」くらいに思ってしごいたのかもしれない。
慣れていない人間が、硬式球を扱うことの恐怖などかまわずに、ノックをしたのではないか。
過酷な練習でこの生徒が追い込まれていたのは間違いないだろう。
野球の素人を馬鹿にし、見下すのは、野球馬鹿の典型ではあるが、それに加えて丸刈りまで強いたのは、人権侵害の恐れさえあるだろう。

この生徒は赤紙が来ていきなり徴兵されたような気分になったのではないか。

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高野連の野球部員数には、こういう生徒も含まれている。
「助っ人部員」の勧誘の仕方にも、問題点があるのではないか。
少なくとも勧誘に対して、はっきり「嫌だ」と言える仕組みを担保する必要があろう。

野球部員数の減少に対して、高野連は危機感を持っているはずだ。助っ人を入れたり、連合チームを組んでも地方大会に出場するよう、県高野連に伝達していると思われる。
それがここまでの不自然な数字に表れている可能性が高い。

無理やり野球部に入れられて、過酷な練習や丸刈りなどを強制された生徒が、以後野球ファンになるとは考えにくい。

無理やり野球部を存続させるくらいなら、つぶした方がはるかに健全だ。もっとクローズアップすべき問題だろう。



ボビー・マルカーノ、本塁打大全


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