これも誤解が多い。「東洋経済ONLINE」でもそういうコメントがあったが、独立リーグ、マイナーリーグが、入場料収入で食っていくことはあり得ない。
そもそも、今のNPBでさえもが「入場料収入」だけで食べているわけではない。
冠イベントなどスポンサードと、ライセンスグッズの販売、球場内の飲食、物販、さらには今はローカルやBS、CSが中心だが放映権料などによって経営している。
入場料収入は、NPBの場合1試合で1億円以上になることもあるが、経費、コストもかかるし、年間70億円程度の売上では、球団は成り立たない。
冠スポンサードは、ソフトバンクや巨人の場合、主催71試合ほぼすべてにつく。これも非常に大きい。日本ハムは、親会社がスポンサードでついている。赤字補填はしていない。
観客動員数だけで、球団経営を語ることはできないのだ。

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独立リーグの場合、入場料収入は、NPBの50分の一以下だ。1000人集まれば大入りのレベルだ。
これだけでは経営は成り立たない。グッズ収入、球場内での飲食、物販も展開しているが、大きな売り上げはない。放映権料はほとんど見込めない。
そんな中で大きなウェイトを占めるのがスポンサーだ。
スポンサードが独立リーグの収入の柱になっている。
BCは、ルートインホテルグループがリーグ全体を冠でスポンサードしていてリーグ名もルートインBCリーグとなっている。その他にもリーグ全体のスポンサーがいる。四国も同様だ。
それらのスポンサーフィーは各球団に分配されるが、それだけでは経営できない。
各球団は地域密着型で小口のスポンサーを獲得している。
スポンサードは、企業にとっては「広告効果」「イメージアップ」を目指すものだが、独立リーグの場合、「おらが選手を応援する」という意味合いが強い。大相撲の「谷町」に近い。
さらに、NPBに選手を送り出したときのキックバックも大きな収入になっている。

選手の年俸は100~150万円、監督で数百万円から1000万円。コーチで500万円程度。選手はそれでは生活できないので、アルバイトをする。

読者の中には「生活できないのに、野球なんかして何になる」という意見もあろう。一般企業に就職して、毎月給料があり、生活の不安がない人には考えられないことではあろうが、野球の世界ではアメリカでも日本でも「マイナーでは生活できない」のが、当たり前だ。
マイナーリーガーは「ステイタス」ではなく、「上昇する」か「下降する」過程での一状態に過ぎない。
野球はこういう形での「すそ野」を維持することにより、レベルを維持し、選手を供給してきた。

日本では社会人野球がその役割を果たしてきたが、衰退したために「独立リーグ」が重要性を増しているのだ。

そういう事情は理解していただきたい。
「独立リーグなんて、プロ野球ごっこじゃないか」というのは浅はかな認識だ。独立リーグがなくなれば、野球のある階層が一気に消滅することになろう。

ついでに言っておくが、従来のNPBのビジネスモデルは、維持できなくなる可能性が高い。今後、新球団が誕生するとしても、100万人を超す観客動員は難しい可能性もある。NPBと独立リーグの中間型のようなビジネスモデルが生まれると思う。

今のNPBのビジネスモデルで、今後のプロ野球の在り方を論じるのは、すでにナンセンスだと言っておこう。

当サイトの読者でも、NPB以外のリーグ、独立リーグやKBO、CPBLのようなものに全く興味がない人も多いが、野球の将来を考えるなら重要な話だ。今後も続けていく。


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ボビー・マルカーノ、本塁打大全


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