当サイトのコメント欄は、だいたい20日で1000本を超す。コメント欄で質問をいただいたからと言って、いちいち答えることはできない。しかし良い機会だから、この根源的な問いかけに答えておきたい。
リーグ戦という概念は、19世紀のアメリカ、野球の世界が発祥だ。
いろいろな前駆的リーグを経て1876年にナショナル・リーグが誕生。当時、アメリカにはたくさんのプロ野球チームがあったが、ナショナル・リーグは自らをメジャー・リーグであると宣言した。
これによって、他のリーグはマイナー・リーグと規定される。今でいう独立リーグだ。

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ナ・リーグは唯一のメジャーリーグとして、主として東海岸でステイタスを高めていった。
1882年にアメリカン・アソシエーションリーグがメジャー・リーグに対抗するリーグとして発足したが、1891年に解散する。
1893年にバン・ジョンソンが、ナ・リーグ傘下でウェスタン・リーグを創設、このリーグが1900年にアメリカン・リーグと改称し、もう一つのメジャー・リーグであると宣言、ナショナル・リーグは当初、これを認めなかったが、1903年になってこれを承認。最初のワールドシリーズが行われ、MLBが生まれた。

一時期、フェデラル・リーグもメジャーリーグを名乗ったが、2年でつぶれる。20世紀以降のMLBは大部分の歴史を通じて二大リーグだった。

MLBは2大リーグとなることで発展した。ワールドシリーズというポストシーズンが生まれ、興行的に大きな成功を収めた。

二つのリーグがあることで、対抗意識が生まれ、ファンの興味が深まったのだ。

大都市では、リーグが二つあることで、複数のチームが存在するようになった。ニューヨークにはナ・リーグのドジャース、ジャイアンツとア・リーグのヤンキース。
シカゴにはナ・リーグのカブスとア・リーグのホワイトソックス。
こうしたチームは同じ都市の異なるエリア、階層のファンを得て人気となった。

同じ都市にありながら、レギュラーシーズンでは対戦しないチームがあることで「未知数」の楽しみが生まれた。
「ナのロジャース・ホーンズビーとアのタイ・カッブは、どちらが凄い打者なのか?」
「ナのカール・ハッベルとアのベーブ・ルースが対戦したらどうなるのか?」
1933年にオールスターゲームが始まったことで、「未知数」は少しだけ明らかになったが、両リーグはそれ以上融合することはなかった。

両リーグはDHの導入に関して違う判断をするなど、発足から70年以上が経っても、独自性を保っていた。両リーグは独立した組織であり、会長がいて、幹部がいた。
両リーグ間の異動は頻繁にはなったが、それでもリーグは独自性を維持していた。

野球のリーグは、入れ替えのないクローズドリーグだ。対戦カードは固定化され、マンネリ化する。

しかし2つのリーグがあることで、興味の範囲が広がり、比較する楽しみも生まれる。めったに対戦しないことで両者の力量を類推する楽しみも生まれる。

二大リーグは、野球の興味をより複雑に、奥行き深くするメリットがあった。

両リーグの記録を合算しない理由 

その1 個々のリーグの歴史的成り立ちが違うから。

その2 複数のリーグが並立することには興行的価値があり、独自に記録を集計、発表することは、リーグの独立性、自律性を担保する根幹の業務だったから。

以下続く

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2004年岩瀬仁紀、全登板成績


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